2007-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『支配の社会学Ⅰ』69【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

ファラオの家産制的小作人と自由な政治的臣民との区別 ファラオの所有地と農民の私的所有地との区別 ――この区別は明らかに本質的には技術的意味しかもたなく、不安定な意味しかもって いなかった。 →けだし、君主の家計の需要充足はラィトゥルギー的な傾向を…

『支配の社会学Ⅰ』68【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

私的な大荘園領主制やノマンヘン支配制が異民族支配の後に消滅してしまってから後 ―古代エジプトは全国が多くの州(ノモス)に分けられ、各州 に長官が置かれていた。その長官をノマンヘンという。 ――特権層として大衆の上にたったのは、厖大な所領を寄進さ…

『支配の社会学Ⅰ』67【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

11 家産制的行政の機能の実例 家産制的行政の機能作用と、とりわけ官吏の専有傾向に対してヘルが自己の権勢 を維持しようとした手段とを、それがもたらすいろいろの帰結とともに、歴史上 重要な若干の実例について、具体的にあらわす。 1 古代エジプト 完全…

『支配の社会学Ⅰ』66【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

地方官吏に対して君主の中央行政による統制を維持するための手段の1つ ――地方官吏の権限を分割するということであったが、この手段は行政法上 極めて重要な帰結を伴う。 ―財務行政のみは特別の官吏の手中に委ねるとか、各行政区について文 官と武官とを併置…

『支配の社会学Ⅰ』65【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

10 家産制的支配の崩壊に対するその統一性の擁護 ヘル ――様々な方法で支配の統一性を確保しようとする。 ―官吏の側からの官職の専有に対して ―官吏の手中に他の方法で君主から独立の支配権力が成立することに対して ⇒ヘルは統一性を擁護しようとする。 ―ヘル…

『支配の社会学Ⅰ』64【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

純粋に人格的な服従関係にもとづく官職 ――没主観的官職義務の思想が、全く一般的に欠けている。 ―官職プッリュンデまたは専有された財産として取り扱われるようになれば完全に 消滅する。 ―権力の行使 …官吏個人の支配者権なのであり、神聖な伝統による明確…

『支配の社会学Ⅰ』63【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

官職の占有が進むに伴うヘル権力(政治的なヘル権力)の変化 ――一方においては分解する。 ―特別の特権によって個人的に専有された個々人の支配権の寄木細工という形に転化 ―個々人の支配権 ―極めて種種様々に確定されるが、一度確定されると、ヘルとしても官…

『支配の社会学Ⅰ』62【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

ヘルが個々の行政区域の地方行政を行うために用いた官吏 ――特別の状況が存在した。(これについては後の考察) ――これらの地方行政区は、もともとその大部分がさまざまの裁判集会団体を 転用したものであったが、時には個々の大きな直轄領をもとにして形成さ…

『支配の社会学Ⅰ』61【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

九 家産制的行政の分権化とステロ化、官職の専有と独占の諸結果、特権性国家家産制的行政がプレベンデの授与によって分権化すること、競争者間への役得チャンスの 分配によって権限の固定化が生ずること、プッリュンデの専有がおこなわれること ――家産制にあ…

]『支配の社会学Ⅰ』60【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

プッリュンデをめぐる関係者達−教皇庁・国王・バロン−の闘争 ――公会議首位論の時代に激化した。 ―しかし、聖職者官職のプレベンデ化自体には、教皇は異議を唱えなかった。 ―トリエント公会議の改革も正規の教区聖職者の地位のプレベンデ化には、手 をつける…

千葉眞「アーレントと自由の政治」

千葉眞「アーレントと自由の政治−世界形成と抵抗の政治−」『思想』No837、1994 アレンとへの3つの問いかけが本論考を構成する。 それは、1、「政治の目的とは何か」2、「政治の内実は何か」3、「政治の独自性−政治に固有の価値ないし政治の 自立的(Independ…

『支配の社会学Ⅰ』59【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

ザーリエル朝諸皇帝時代のドイツ行政とその政治的権力地位 ――教会領と特に司教たちの服従とを、その主たる基盤としていた。 ―教皇は空位になったプッリュンデに対する独立の処分権を次第に獲得していった。 ―この過程がその絶頂に達したのは、14世紀の始め ―…

谷澤正嗣「カント政治哲学の一解釈」

谷澤正嗣(1994)「カント政治哲学の一解釈-H・アレントの解釈と自由主義的解釈の架橋の試み-」 早稲田政治経済学雑誌320号、1994、1 『人倫の形而上学 第一部 法論の形而上学的原理』での法と国家の哲学を実践哲学を背景にした自由主義の哲学的基礎付けの理…

]『支配の社会学Ⅰ』59【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

中世におけるキリスト教聖職者の生計の資 ――土地プッリュンデまたは役得プッリュンデによってまかなわれた。 ―司教が右の財産についての処分権をもっていたために、司教に対する聖職者 の完全な人格的従属を伴っていた。 ―都市−都市は当時におけるキリスト教…

川崎修「ハンナ・アレントと現代政治哲学の隘路」

川崎修(1987)「ハンナ・アレントと現代政治哲学の隘路」『思想』pp.111-130 アレントの政治思想を、強固な個人主義的パトスによって共同体の存立を基礎づけようとする、パラドキシカルな企ての側面があるとする。そして、それはモダニズムのアポリアであ…

『支配の社会学Ⅰ』58【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

ヘル ――確かにプリュンデを授与した。 しかし ――終身的に授与したわけではなかったので、何らかの形でいつまでもこの 官職譲渡の利益にあずかろうと願い、彼のほうでも官職譲渡について原 則を定めようとした。 ―官職取引−役得チャンスを資本家すること−は非…

『支配の社会学Ⅰ』57【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

8 家産制的官吏の給養、実物給与的プリュンデと役得プリュンデ 家産制的官吏 ――その典型的な物質的給養をもともとはヘルの食卓およびヘルの財庫に見出した。 ―ヘルの食卓が彼らの扶養に決定的な役割を果たすことをつとにやめてしまって から後も、宮廷に滞在…

『支配の社会学Ⅰ』56【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

被支配者の官吏に対する関係 ――官吏は伝統の力と、臣民の服従心と給付能力とを維持せんとするヘルの 利害関心とを考慮して、なおかつ「なしうる」ことは、しても「差し支 えない」のである。 ―官僚制的行政に見られる明確かつ拘束力ある規範や行政規則は存在…

『支配の社会学Ⅰ』55【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

管轄権の決定 ――合理的・没主観的考量は多くの場合、第一義的な働きをしたわけではない。 ――この種の考量が排他的決定力をもったことは全くない。 ――役得利益間の妥協が管轄権を決定した。 →管轄権は極めてしばしば、同一の事項について競合的であった。 し…

中野剛充(2002)「リベラル-コミュニタリアン論争の「政治的転回」」

中野剛充(2002)「リベラル-コミュニタリアン論争の「政治的転回」」『政治思想研究』pp.113-128 ロールズとサンデルの論争には政治哲学的意義と(アメリカ)政治史的意義の2つの意義があったとしその論争の「政治的転回」を考えていく。

石田雅樹(2001)「「政治」と「虚偽」」

石田雅樹(2001)「「政治」と「虚偽」『思想』pp.32-51 政治における「虚偽」の存在を検討していく。「虚偽」と「シニシズム」、「虚偽」の体系化、組織化の過程での「虚偽」能力のない人間の創出、「虚偽」の政治性・「政治的なるもの」の虚偽性などを検…

石田雅樹(2000)「「法」「権力」と、「革命」のアポリア」

石田雅樹(2000)「「法」「権力」と、「革命」のアポリア」『政治思想研究』pp.139-160 Arendtの『革命について』と『精神の生活』における「革命のアポリア」を検討していく。「革命のアポリア」とは圧制や暴政から開放されあ後で、新しい制度を「創設」…

川崎修(2003)「帝国主義と全体主義」

川崎修(2003)「帝国主義と全体主義」『思想』pp.8-26アレントとローザ・ルクセンブルク、アレントとホブスンの説を見ながら全体主義を考察。 前者は経済面、後者は政治面を主に見ていく。

『支配の社会学Ⅰ』54【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

この権限 ――差し当たり全く流動的 ―他の官吏に対する限界づけが全くあいまいであることも非常に多い。 ←家産制的官吏の場合に限ったことではない。 ―競合的なヘル権力 ―差当りはステロ化された限界づけを、かくして「明確な権限」に似 たようなものを作り出…

『支配の社会学Ⅰ』53【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

ミニステリアーレンによる宮内の独占 ――宮廷勤務プレベンデの領域における一例である。 イギリスの弁護士の独占 ――政治的官職の領域に属するもの 教会勤務 ――ウレマ(学者)によるカーディ(裁判官)、ムフティ(決定者、法学者) およびイマーム(指導者)…

『支配の社会学Ⅰ』52【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

ヘル ――彼に体僕領主的に隷属しているものかヘルに全生存をかけているような 外人を招聘することを望んだ。 ∵右のような官職の身分制的独占や官職義務のステロ化を避けようとし たから。 →ヘルは内地人官職候補者、臣民から激しい抵抗を受ける。 ―ヘルが典型…

『支配の社会学Ⅰ』51【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

ドイツでミニステリアーレンになる自由人 ――自分の土地をヘルに寄進し、これを再び、適当に増加してもらった形で、 家人領として受領した。 ミニステリアーレンの素性 ――彼らの非自由人起源は疑いのないものと思われる。 他方で 1つの「身分」としてのこの階…

『支配の社会学Ⅰ』50【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

7 家産制的官職、家産制的官吏との相違 大きな直轄領(君主の直轄領) ――土地領主としての彼に従属する地所と・永続的にこの地所に所属する 荘民家計との複合体を伴うところの、1つの君主家計を包含している。 →組織された「管理」を必要とする。 ―政治的管…

『支配の社会学Ⅰ』49【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

ライトゥルギー的強制団体 ――自治self governmentの源泉となった。 …2つの道をたどって発展 ・(1)ヘルによって要求された義務の〔成員への〕割当が、 団体の内部的な・自治的に処理される仕事になったこ と。 ・(2)団体に課せられたある種の義務は富裕な…

]『支配の社会学Ⅰ』48【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

カストについて第一義的なもの ――種族の相違と並んで呪術的=宗教的および身分的相違 ツンフト ――自由な団結 ライトゥルギー的強制団体 ――極めて一般的に普及した現象 ―家産制的支配においてしばしば最も仮借なき首尾一貫性をもっ て貫徹される。 ∵家産制的…