『支配の社会学Ⅰ』50【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】


7 家産制的官職、家産制的官吏との相違


大きな直轄領(君主の直轄領)
――土地領主としての彼に従属する地所と・永続的にこの地所に所属する
荘民家計との複合体を伴うところの、1つの君主家計を包含している。  
  →組織された「管理」を必要とする。
   ―政治的管理が統合されるとき、この政治的管理についてはますます
必要性が増大する。
    →家産制的官職が成立


家計管理に由来する宮内官職
――世界中どこでも見出される。
  …経済的管理部門の統率者
   ―貯蔵食料および調理場の監督者、酒蔵の監督者、厩舎の監督者etc
    ―家の管理の必要から分化してくる一切の職務について、監督者が
置かれる。


すべての官吏
――本来の管理のほかに、君主個人の用を弁じ、君主を代表する任務を負う。
――官僚制的管理の場合と異なって、職業的な専門の分化が欠けている。
他方
家産制的官吏
――官僚制的官吏と同様に、被支配者に対して身分的に分化する。
――土地領主的または体僕領主的被支配者の「卑俗な奉仕」や「奴隷的な仕事」
  ―どこにおいても、右の高級な・宮廷風な・管理職的な・勤務やライトゥル
ギーから区別される。
   ―この仕事は「ミニステリアーレン」に委ねられ、少なくとも有力なヘル
への勤務の場合には、後になると、自由人にとっても不名誉ではないも
のとみなされる。


ヘル
――第一には体僕領主的権力によって彼に服属しているひとびと、すなわち奴隷
や隷属民から、その官吏を補充する。
  ―ヘルは彼らの服従はこれを無条件に確保しうるからである。
しかし
 政治的官吏
 ―彼らだけで間にあわせることは稀
 ―非自由人の力や位階が他のすべてのひとびとを圧して高まるのをみること
  →臣民たちには快くなかった。
   …政治的ヘルをして、その官吏群を家産制外的にも補充することを余儀な
くさせた。
 他方
 ヘルへの勤務が自由人に著しい利益をもたらす結果
 →個人的なヘル権力への宅身も〔彼らによって〕甘受された。
  ←ヘルは、家産制外の出身の官吏が、非自由人から補充されら官吏と同様に、
彼に対する人的従属関係に入ることを重視したから
⇒特殊家産制的構造をもった政治的構成体においては、全中世を通じて、官吏は
君主の隷属者にならなければならなかった。