『支配の社会学Ⅰ』53【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】


ミニステリアーレンによる宮内の独占
――宮廷勤務プレベンデの領域における一例である。
イギリスの弁護士の独占
――政治的官職の領域に属するもの
教会勤務
――ウレマ(学者)によるカーディ(裁判官)、ムフティ(決定者、法学者)
およびイマーム(指導者)の地位の独占や西洋では同様の学位保有者によ
る聖職プリュンデの多数の独占が生じた。
しかし
西洋では
――ミニステリアーレンの官職地位のステロ化は、特に彼に授けられた官職に
おける、個々人のかなり明確な身分的仲間権を伴った。
東洋では
――官職制度は高度にステロ化されたが、これに反して官職保有者個人は依然
として極めて自由に転免されえた。
⇒これは、次のことに由来する。
―西洋的発展の基礎をなす一定の身分的諸前提が存在しなかったこと
 ―東洋の支配者の軍事的権力地位が西洋のそれと異質的であったこと


家産制的官吏制度
――職務の分割と合理化とが進むにつれて、特に文書の利用が増大し、秩序あ
る審級制度が作られると、官僚制的特徴を備えるようになる。
しかし
――その社会学的本質からすれば、純家産制的な官職と官僚制的な官職
  →両者のそれぞれの型が純粋に打ち出されるほど、ますます相互に異なっ
てくる。
  ―とりわけ、家産制的な官職には、「私的な」領域と「官職的な」領域と
の、官僚制に特徴的な区別がない。
   →政治的な官吏:ヘルの純個人的な事務として取り扱われる
   →彼の政治的権力の保有と行使:貢租と役得との取得によって利益をあ
げうるところの・彼の個人財産の一要素として取り扱われる。
    ⇒彼がいかに権力を行使するかは、いたるところで干渉する伝統の神
聖性が彼の恣意に対して多少とも固定的なあるいは弾力的な制限を
加えない限り完全に彼の自由な恣意に委ねられる。
     ―伝統によってステロ化された機能でない限り、したがってとりわ
けすべての本来的に政治的な問題
      →彼のその時々の純個人的な恣意が彼の官吏の「権限」の確定に
ついても決定力を持っている。