『支配の社会学Ⅰ』62【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】


ヘルが個々の行政区域の地方行政を行うために用いた官吏
――特別の状況が存在した。(これについては後の考察)
――これらの地方行政区は、もともとその大部分がさまざまの裁判集会団体を
転用したものであったが、時には個々の大きな直轄領をもとにして形成さ
れたものもある。
  ―地方行政の分野でも購入によるプッリュンデ専有がヘル権力から独立の
権力がステロ化し・分立することの動因として働いた。
  しかしここでは、ほかに次の事情が分権化・ステロ化的作用を営む。
  ―ヘルの個人的権勢の後ろ盾から遠く隔たった・このような無防備の地位
に就く官吏の権威については、その権威の一般的諸条件をどうしても考
慮に入れざるをえないという事情
   →徹頭徹尾経済的にも社会的にも君主の恩恵に依存するような純粋な官

    :極めて厳格に機能する合理的な装置(一切の経済的・交通技術的諸
前提を含めた近代的官僚制)を基盤として、始めて永続的に可能
     ∵近代的官僚制的諸条件の下においては専門知識も力の源泉になり、
官吏の個人的権威の獲得が可能になる。
⇔(これに反して)
家産制(合理的な「専門知識」を条件とはしていないような行政)
――このような一般的諸条件の下においては、地方官の地位にとっては、その地
方的管轄区の内部で、彼が自分でどれだけの社会的権威を持しているかとい
うことが決定的である。
  …社会的権威
   :生活様式の身分的卓越性にもとづくのが普通
    →被支配者の中の裕福な層、特に地主層は、容易に地方官職を独占しう
る。
――その能力に特に恵まれたヘルが厳格な親政を施く場合
  :経済的・社会的に完全にヘルに依存する無産者による統治という。正反対
の原則を維持することができるだけである。
――利害関係者のグループとして固く結束した・官職を保有する名望家層
  :長い間には、ヘルに対して優勢を占める。