MaxWeberノート

David Owen 101

第二章 批判の変容――ニーチェと系譜学p27-「道徳の面前では、あらゆる権威に直面したときと同様に、考えてはならず、まして語 ってはならぬ。ここでは――ひたすら服従あるのみ!」 →→ニーチェによるカント批判 ――カントの哲学プロジェクト…批判が立法のかたち…

David Owen 100

結論26- 留意点 (1)成熟を自己自身の意志を意欲することと同一視すること (2)批判的であり、目的として個々人に向けられた理性の公的使用と、道具的であり、 個々人を物として扱うことを要求する理性の私的使用との区別 カントは、 ・二つの意欲すること…

David Owen 99

【まとめ】25- カントの啓蒙をめぐる小論から生じた三つの問題への解答 第一:道徳と啓蒙の同一視 →成熟とは人が自己自身の意志を意欲することであり、それは道徳法を意欲する ことと全く同じこと、という主張 第二:公的理性の自由な使用要求…それが目的を…

David Owen 98

難点:カント哲学体系…理性の歴史という観念を必要とする。 ⇔ それはまた、理性の歴史という観念を排除している。 ――「歴史」という概念:時間における体現を意味する。 ⇔ カント:時間を経験的世界のみに適用される一つの直観形態とし、理性を 時間の外部に…

David Owen 97

【断固たる二元論的哲学を導入して純粋理性のアンチノミーの解消を はかるカントの一貫性の有無に関係する問題】23- カントの理性=<利害関心の体系> ――基本的特徴:それ自身の『本質的な目的』あるいは内在的課題を 追求する目的論的活動 →利害関心の第一…

David Owen 96

<最高善>の理念→根源的自律の未来像の要求と一致すると思われる目的を確立 しかし →この目的を実現する可能性は根拠を欠いたまま 『最高善の概念の客観的実在性は、…十分に証明されない。しかし…この概念の 使用はあの目的(=世界における最高善)を能う…

David Owen 95

目的の決定との関係でのカントの問題 →個人に帰属させている根拠的自律の問題 …「最高善」の理念というかたちで「歴史的命令」の導入に頼る 『道徳法は理性による形式的条件…この条件のもとでわれわれの自由を 使用する。…実質的条件としてのいかなる目的に…

David Owen 94

【二つの問題】20- 第一の問題:成熟の可能性の問題(経験の世界を道徳的自由で性格づけられる 世界に変容させる可能性) 第二の問題:断固たる二元論的哲学を導入して純粋理性のアンチノミーの解消 をはかるカントの一貫性の有無 【成熟の可能性の問題】 ――…

David Owen 93

【カントによる成熟と道徳的自律の同一視】 カントの個人理解はこの同一視とどのように関係するのか?二つの啓蒙概念の同一視 ――・悟性を他人の後見に頼る未成熟…自己の意志を実現し、道徳法に従って 自己自身を構成する動機付けの欠如を 意味 ←人類の後見人…

David Owen 92

【カントの個人理解】18- 個人:自然であり超自然、(原因と結果の連鎖のうちに存在する)自然的 欲望から成る存在であり、(自然における因果的連鎖を引き起こし、 それによって自然を変容させる)合理的意志から成る存在 →道徳の領域において明らかになる…

David Owen 91

自律・理性・歴史(p17-) カントの小論…始まり:啓蒙と成熟(自分自身の悟性への信頼)の同一視 終わり:啓蒙と「自由に行為する」能力の同一視 ――はじめの定義:啓蒙を広い意味での自律(自己決定、自分で責任をとること)と結合 後の定義:啓蒙を特殊な意…

David Owen 90

【啓蒙の必要条件と実際的諸条件の関係】14- カントの問い:「現在は啓蒙された時代か?」 カントの答え:「否、しかし啓蒙の時代である。」 ――二つの状態の区別…それぞれの立法形態のうちにある。啓蒙された時代が歴史に登場するための前提条件 :「公共の…

David Owen 89

第一章 カントと成熟の問題(p11-) カントと啓蒙としての成熟(p11-) カントの啓蒙の問題:「人間が自ら招いた未成熟から抜け出ること」 ―未成熟:「他人の指導がなければ、自分自身の悟性を使用しえない 状態」 →導入部:啓蒙精神の積極的定義で結ぶ。 「…

David Owen 88

【第八から十章】 フーコーの仕事。成熟の問題に対する関心のニーチェやウェーバーの仕事との関係 を明示 ■第八章 フーコーの方法論的省察 ――考古学→系譜学→考古学と系譜学の<二重のまなざし>へ フーコーの系譜学的方法 ――権力への意志の教説をさらに洗練…

David Owen 87

本書の構成 カントからフーコーにいたる歴史的軌道を追跡することで議論を組み立てる。それぞれの思想家が成熟の問題にたいして<系譜学的>アプローチをとることを明示 ↓ <近代>の系譜学の検討 ↓ 成熟の問題への対応をめぐる<政治>を分析 ⇒・この思考軌…

David Owen 86

【二つの伝統の差異】 二つの伝統…・ヘーゲル−マルクスーハーバーマスと展開される批判的伝統 ・ニーチェ−ウェーバー−フーコーと展開されるカント以後のもう一つの批判形態 ――差異を確認するために三つの問いに立ち返る。 ・成熟とは何か?・近代性とは何か…

David Owen 85

David Owen(2002)『成熟と近代ニーチェ・ウェーバー・フーコーの系譜学』 宮原浩二郎・名部圭一 訳、新曜社 序本書の核心にある主題的関心 ・内在的批判の一形態としての<系譜学>(genealogy)の出現とその展開を追跡 すること ・この批判形態のもつ倫理…

『支配の社会学1』84【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

16 家産制と身分的名誉(p.281-)身分自身の土地を持つということは、位階的地位の基盤としては、ますますそ の意義を失っていく。 →貴族領の所有ではなく、自己および祖先承伝の官位が、社会的位階を創りだした。荘園制的家産制 ・荘園領主と国家的官職が…

『支配の社会学?』83【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

15 ツァーリズム的家産制(p.276-) 家産制的君主権力と荘園領主的名望家 ――並存する場合、両者の間では妥協が行われた。 →少なくとも近世においては、ヨーロッパ大陸の制度にはこのような現象は もはや知られていない。 ―ピョートル大帝からエカテリーナ二…

『支配の社会学?』82【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

【合理化】 イギリスの「郷土階級」 ←治安判事行政 →イギリスのジェントリーの「精神」が生まれた。 アングロサクソン的ジェントルマンの一種独特の「剛毅の理想」 ―習律の形式的厳格さの中に、極めて強く発展した誇りと品位感情の中に、 スポーツが正に身分…

]『支配の社会学?』81【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

14 ジェントリー出身の治安判事によるイギリスにおける名望家行政、 「ジェントルマン」の型の形成(p262-) 家産制的君主と地方の家産制的利害関係者の自然的傾向との間の闘争 →様々な結果をもたらした。 君主:陪臣化された臣民に対して、とりわけ財政上お…

『支配の社会学?』79【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

13 家産制的ヘルと地方的荘園制(p255-) 中央権力と種種様々の遠心的地方権力との不断の闘争 →特殊な問題を生み出す。 ヘル自らが一個の荘園領主として、地方的名望家として自分たちの郷里にお いて自立的な権威を持っているような他の荘園領主と並んで、ま…

『支配の社会学?』79【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

分権化 ――一方:単に兵員を供給するだけの義務を負うという形でその極限に達する。 ――他方:分国の形でもその極限形態をとる。 一切の支配諸関係 ――すべてヘルの私的財産とみなされ、相続による分割が行われる。 ―この分割は、完全に独立の諸権力を設定する…

『支配の社会学?』78【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

大きな大陸諸国 ――右のような寄木細工的政治組織が最も広く行われていた型 ―この型は決定的な諸特徴の点では大きな恒常性をもっているが、個々の構 成の上では、極めて変化に富んでいた。 ・近世の中国の諸特徴 ―官吏層の統一性にもかかわらず、一部分は単に…

『支配の社会学?』77【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

12 家産制的支配の分権化、ザトラピーと分国(タイルフュルステンテューマー) 勢力範囲の個々の構成要素が、ヘルの居城から遠く離れるほど、ますますヘルの影 響力から離脱するという状態 ――純官僚制的な家産制的構成体にとっても通常のことであった。 …阻…

『支配の社会学?』76【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

臣民に対しては儒教倫理は福祉国家の理論を発展させた。 重商主義 ――萌芽も見出せるが、実際のやり方は重商主義とは本質的に趣きを異 にしている。 ―家産制が氏族間・村落間の頻発するフェーデに介入したのは、必 要やむをえない場合に限られた。 ―正常時に…

]『支配の社会学?』75【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

中国文化の統一性 ――本質的には、一つの身分階層の統一性であった。 すなわち、官僚制的な古典文学的教養と、特有の貴人理想をもつ 儒教倫理の担い手たる階層 →この身分倫理の功利的合理性には一つの限界があった。 →伝統的・呪術的な宗教心とこれに関する儀…

『支配の社会学?』74【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

中国の官吏制度は近代的な官僚制にならなかった。 →権限の即対象的な分割がほんの僅かしか行われなかったから。 ―技術的な2つの事情 :治定された帝国の行政全体が民治行政であり、相対的に極めて小さい 軍隊が特殊部隊を形成していたに過ぎなかったという事…

『支配の社会学?』73【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

皇帝の家産制的支配の官職専有の危険性防止、保護・被護関係と地方名望家 による官職独占の阻止のための手段 ――・官職任期の短縮 ・官吏を一族郎党のいる地方には任命しないこと ・密偵による監視 ・任官資格の試験 ・昇進、降任における職務上の業績の証明 …

『支配の社会学?』72【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】

土着の勢力として家産官僚制に対立したもの ――商人ギルド、ツンフト、氏族(ジッペ) ―氏族 ・家族の狭いサークルの中:祖先崇拝 ・同姓の広いサークル:族外婚 によって結合されており、氏族の長老は村落内で実際上最も有力な権勢を保持し ていた。 ⇔中国の…