『支配の社会学Ⅰ』67【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】


11 家産制的行政の機能の実例


家産制的行政の機能作用と、とりわけ官吏の専有傾向に対してヘルが自己の権勢
を維持しようとした手段とを、それがもたらすいろいろの帰結とともに、歴史上
重要な若干の実例について、具体的にあらわす。


1 古代エジプト


完全な首尾一貫性をもって実施された最初の家産官僚制的行政
古代エジプトのそれである。
――原初的:ファラオがその宮廷に従属する屈従者たちから採用した職員から、発
展したもの
  後:官吏の補充は、家産制外的にも行うことを余儀なくされる。
    ―この場合、官吏に採用されることは、ヘルに対する家産制的従属関係に
入ることを意味した。
――一方において:上から体系的に組織された治水規制が他の一切を圧倒するごと
き重要性をもっていたと言う事情
  他方:土木事業がおこなわれたという事情
  ⇒全住民が1つの被護民階層秩序に組み入れられるという結果をもたらした。
   ―この階層秩序内部においては、ヘルをもたない人間は良い獲物とみなされ、
場合によってはファラオの賦役小作人の中に簡単に編入された。
    ―国は1つの賦役国家となり、ファラオは権標として他のものと並んで特に
鞭をも携えていた。
   ―ファラオは
    ―一部は直営事業
    ―一部は非自由家内工業労働
    ―一部はコローヌスの農業経営
    ―一部は独占直営商業
    ―一部は貢租
    によってそのオイコスの需要を賄った。