]『支配の社会学Ⅰ』60【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】


プッリュンデをめぐる関係者達−教皇庁・国王・バロン−の闘争
――公会議首位論の時代に激化した。
  ―しかし、聖職者官職のプレベンデ化自体には、教皇は異議を唱えなかった。
  ―トリエント公会議の改革も正規の教区聖職者の地位のプレベンデ化には、手
をつけることができなかった
  ⇒聖職者たちが、制限されたものではあってもはっきりとした「官職要求権」
をもつことは、これを動かすことをえなかった。
   ―「文化闘争」とりわけ「国家と教会の分離」が「官職保持権」を排除して
「思いのままに動かせる」教会官吏をもってプレベンデ化に置きかえよう
とする努力を、全世界にわたってますます現実化してゆくという可能性と
機縁とを教会権力に与えた。
     ←これは教会制度の最も重要な変化の1つ


プッリュンデ取引は原則として役得プッリュンデに限られた。
――それは貨幣経済の浸透の一所産であり、貨幣経済の生み出す諸結果を伴ってい
た。
  ―この諸結果とは
   ―貨幣経済の増大
   ―貨幣役得を財産投資に利用する可能性と傾向との強化
   ⇒これらは貨幣経済の形成によってもたらされた結果
――プッリュンデ取引が近世初期−16-18世紀−のごとく発展したことは他の諸時代
には見られなかった。
――中国での官職プッリュンデ
  ―専有されず、したがってまた形式的には売買できなかった。
  ―しかし、中国やオリエントにおいても西洋と原理的には同様にプッリュンデで
生計を立てるということが、勉学や学位その他の位の取得の目的だった。


ヘルからの贈物
――家産制的官吏の常時的・通常的収入に、更にその性質上不定な収入として、特別
の功績を立てた場合、あるいはヘルが特に機嫌がよいときに加わる。
――なかんずく貴金属が用いられた。
  ―官吏の好意は具体的な功績をねぎらってやれるかどうかに依存する。
   ―「財宝」をもっているということは、常に家産制的支配権力の不可欠の基礎
であった。