『支配の社会学Ⅰ』61【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】


九 家産制的行政の分権化とステロ化、官職の専有と独占の諸結果、特権性国家

家産制的行政がプレベンデの授与によって分権化すること、競争者間への役得チャンスの
分配によって権限の固定化が生ずること、プッリュンデの専有がおこなわれること
――家産制にあっては、合理化を意味せず、むしろステロ化を意味する。
  ―プッリュンデの専有
   ―裁判官の「独立性」という近代的な法的保障と同じ作用を営むことがある。
   ―もっとも、その意味からすれば全く別のものであり、官吏の官職要求権の保護と
いう意味をもつものであるのに、近代的管理法において、官吏の「独立性」−す
なわち判決によらずして官吏を罷免しえないという原則−によって追求されてい
る目的
    →被支配者のために、官吏の没主観性の法的保障を達成するということにある。
   ―法的にまたは事実上プッリュンデを専有している官吏
    …ヘルの統治権を極めて著しく制限することがある。
    …政治的権力配分の伝統主義的ステロ化を維持することがありえた。


官職プッリュンデ保有者たちの仲間集団であるフランスの「パルルマン」
――国王の命令の形式的な認証〔登録〕の権利と、部分的には国王の命令の執行権をも手
中に納めており、数百年間にわたって絶えず繰り返し、およそ彼らの伝統的な権利を
害うような一切の改革の実施を頓挫させた。
  ←ここでも、官吏はそのヘルに反対することはできない、という家産制的原則が原理
的には妥当していた。
  ―このような状況の基礎をなすプッリュンデ専有なるもの
   ―ヘルとプッリュンデ保有者との間の力関係に依存していた
    …ヘルが、プッリュンデ保有者の専有された権利を請戻し、それに代えて、ヘル
に完全に人格的に依存する官僚制を作り出すだけの、財政力を有するか否かが
問題