『支配の社会学Ⅰ』49【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】
ライトゥルギー的強制団体
――自治self governmentの源泉となった。
…2つの道をたどって発展
・(1)ヘルによって要求された義務の〔成員への〕割当が、
団体の内部的な・自治的に処理される仕事になったこ
と。
・(2)団体に課せられたある種の義務は富裕な成員のみが履
行しうるものであり、したがってまた富裕な成員のみ
に転嫁されたのであるが、この種の義務は、それが与
える影響力の故に、当該階層の身分的権利となり、今
や彼らはこの権利を自分のために独占するにいたった
こと。
しかしその他のところでも
家産制的行政の行われているところ
―あらゆる政治的義務は具体的な財産対象に課せられた定量的な
給付義務になり、義務者の人格から完全に切り離される、とい
う自然的な傾向があった。
→この現象は、ライトゥルギー的な集団義務が人格自体をもっ
て世襲的に拘束しているのでない限り、この義務を課せられ
た対象が譲渡可能であるか、または譲渡可能になるかすると
き、どこでも直ちに生ぜざるをえなかった。
―ヘルの要求の履行
→目に見えかつ彼にとって掴みうるようなにかかってゆく。
…本質的に土地
―ヘルは極めて厖大な強制装置を必要とした。
→強制団体の制度はこの理由にもとづいていた。
→この任務は強制団体に転嫁された。
ライトゥルギー的需要充足
――結果的には極めて様々の形に帰着
―1つの極限的ケース
:ヘルに対して広汎な独立性をもつ地方的な名望家行政
―額や種類を伝統によって規定され・それぞれ特殊の財産対象
に附着したところの・特殊の諸負担の体系が伴っている。
―他の極限的ケース
:臣民の総体的・人格的な家産制的隷属
―臣民は、極めて不安定な制限の枠内では、ヘルの全く恣意的
な諸要求に曝された。
⇒ヘル自身の家産制的な権力的地位や、とりわけ、いざとなれば政治的
臣民を敵にまわしても確保しうるような彼の家産制的軍事力が、技術
的に発展していればいる場合
→第二の型、すなわち総体的奴隷関係が容易に実現
⇒大部分のケースは2つの型の中間に位置
ヘルが自由にしえた官僚的強制機構の発展の仕方と程度
――臣民に対する要求の質と量とを決定する上に、重要な意味をもって
いた。
―ヘルが必要とする一切の勤務に、集団責任によって保証されたラ
イトゥルギーという形式を与えることは可能ではない。
―ヘルが最大限の個人的権勢を獲得しようとするとき、ヘルにとっ
て合目的的でもなかった。
⇒いかなる場合にも、ヘルは必ず官吏群を必要とした。