『支配の社会学Ⅰ』55【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】


管轄権の決定
――合理的・没主観的考量は多くの場合、第一義的な働きをしたわけではない。
――この種の考量が排他的決定力をもったことは全くない。
――役得利益間の妥協が管轄権を決定した。
  →管轄権は極めてしばしば、同一の事項について競合的であった。
しかし
これはすでに、官職の永続性やステロ化が著しく進んだ状態であり、かかる状態
は、大きな永続的な政治的構成体においてすら、ようやく徐々に達せられたもの
である。
―出発点
 ―「そのつど的」官吏の状態
 ―受任の範囲は具体的な没主観的目的によって限定され、選任は没主観的な資
格によってではなく個人的な信頼によって行われる、というごとき状態
  ―大きな政治的構成体の行政が家産制的に組織されているところでの「権限」
を明らかにしようとする一切の試み
   →多数の官職名の無制限な洪水に直面するし、この官職名がほとんど全く恣
意的にその意味を変える。
    ∵政治的な仕事がヘルのための純経済的な仕事に付属させられるのである
から、前者はいわば必要に応じて臨機に利用されるだけの外畑のような
観を呈するからである。
     →政治的官吏は差当り「そのつど的官吏」で、ヘルはこの仕事の処理を
、そのつど、各個の場合に人的資格ありと認めた人、とりわけ彼に最
も近しい人に委ねた。
      …ヘルの全く個人的な好みや個人的な興・不興が万事について究極の
基準なのである。