David Owen 94


【二つの問題】20-
第一の問題:成熟の可能性の問題(経験の世界を道徳的自由で性格づけられる
世界に変容させる可能性)
第二の問題:断固たる二元論的哲学を導入して純粋理性のアンチノミーの解消
をはかるカントの一貫性の有無


【成熟の可能性の問題】
――困難の二つの契機
  (1)道徳的行為の持つ目的論的性格は目的の存在を論理的に要求
  (2)道徳的行為の意図自体が、道徳的行為が世界を変容させるのに有効
でありうることを要求
  ―(2)は重要な心理的相関物をもっている。
   →成熟への動機付け:啓蒙された行為が経験的世界の中で因果的に有効
である可能性に依存することになるから
    →根拠付けられなければ、成熟への動機づけを掘り崩す。