David Owen 95


目的の決定との関係でのカントの問題
→個人に帰属させている根拠的自律の問題
 …「最高善」の理念というかたちで「歴史的命令」の導入に頼る
   『道徳法は理性による形式的条件…この条件のもとでわれわれの自由を
使用する。…実質的条件としてのいかなる目的にも依存することなく、
それ自体だけでれわれわに責務を課す。しかしそれにもかかわれず…わ
れわれにたいしてアプリオリな究極目的を規定し、その達成…をわれわ
れの責務にする。そしてこの究極目的が…自由によって可能な、<世界
における最高善>なのである。』


「歴史的命法」:定言的命令の一種の精緻化
「<世界における最高善>」:個々人が尊重さるべき目的をもつ存在として遇さ
れることによって、個々人の最大限の福祉が約束
される「目的の王国」のこと。