『支配の社会学?』74【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】


中国の官吏制度は近代的な官僚制にならなかった。
→権限の即対象的な分割がほんの僅かしか行われなかったから。
 ―技術的な2つの事情
  :治定された帝国の行政全体が民治行政であり、相対的に極めて小さい
軍隊が特殊部隊を形成していたに過ぎなかったという事情
  :権限の分割以外の手段で官吏の服従を保証できたという事情


権限の分割が行われなかった積極的な理由
――例えばイギリスの行政の漸次的な近代化に当たって大きな役割
を演じたところの、目的団体とか専門官僚とかの特殊的な概念
は根本的に、反中国的であった。
  ∵試験で査定される中国の官吏団の教養は専門的資格ではなく
、むしろそれと正反対のもの
  ―試験は一種の教養試験、受験者が紳士であるかを判定したの
であり、専門知識を備えているかどうかを判定したのではない。
   ・孔子の根本原理:普遍的・個人的自己完成の倫理的思想
   ・西洋:没主観的な職業の思想
   →根本的に対立する。
    ―これが専門的訓練や専門的権限の成立を妨げ、その実現をた
えず繰り返し阻止した。
⇒この行政の特別に反官僚的・家産制的な根本傾向があった、またこの
傾向が行政の粗放性と技術的未熟さとの因をなした。
他方
中国は、最も徹底して、習律的な・公式審査を受けた文学的教養〔科挙
試験の合格〕のみにもとづいて、身分的特権を認めた国であった。
→形式的にみれば、特殊近代的な・治安の保たれた・官僚制化された社
会の、最も完全な代表者
 ∵近代社会は
  ・プッリュンデの独占
  ・特殊身分制的な階級構成
  →常に認証された教養程度〔教育免状〕のもつ威信にもとづいてい
るから。