David Owen 87
本書の構成
カントからフーコーにいたる歴史的軌道を追跡することで議論を組み立てる。
それぞれの思想家が成熟の問題にたいして<系譜学的>アプローチをとることを明示
↓
<近代>の系譜学の検討
↓
成熟の問題への対応をめぐる<政治>を分析
⇒・この思考軌道の内的発展に注意
・思想家の間の家族的類似を示す構造的形式を維持
【第一章】
啓蒙に関するカントの論→成熟の問題として読解
――歴史的アンチノミーや政治的逆説の存在を明示
(狙い)成熟という問題が近代思想に対して提起する課題を特定
【第二から四章】
ニーチェの仕事
■第二章
ニーチェによる内在的批判の変容を提示
■第三章
近代を<ニヒリズム>として歴史的に再構成する方法に注目
――近代人のもつ自律能力:その能力の行使を可能にする価値基盤の欠如と一体化して
いるという両義性
■第四章
両義性に対するの応答
――<永遠回帰>の教説が近代文化のための新たな価値基盤を提供する試みだと確認
→応答に含まれる政治
…ニーチェの<超人>概念に見られる両義性との関連で探求
【第五から七章】
ウェーバーの思想をニーチェとの関連において位置づける。
■第五章
リッケルトの新カント主義にウェーバーを位置づける正統的見解を批判
ウェーバーの文化科学がニーチェの系譜学的批判の構造を反復することを明示
■第六章
ウェーバーによる近代の<脱呪術化>としての歴史的再構成
→キリスト教の真理への意志とその近代的体現である世俗学問的理性のニヒリズム的効
果に対するニーチェ的関心の反復を示す。
脱呪術化と官僚制の両者に対する問題
――ウェーバーの<プロテスタント倫理>の分析を学問と政治の領域に関係させるこ
とによって引き出されてくる。
■第七章
成熟の問題に対する応答
――・<人格>概念の練り上げによって価値の文化的基盤を提供
・<召命=天職>観念の世俗化を中心にした職業倫理の構築によって<合理的規律>
の支配への抵抗を基礎づける
→応答に含まれる政治
…<カリスマ的政治家>と<天才的(科)学者>に対するウェーバーの呼びかけに依拠
して検討