David Owen 98
難点:カント哲学体系…理性の歴史という観念を必要とする。
⇔
それはまた、理性の歴史という観念を排除している。
――「歴史」という概念:時間における体現を意味する。
⇔
カント:時間を経験的世界のみに適用される一つの直観形態とし、理性を
時間の外部に置く。
⇒カントの因果性のアンチノミーの解消…形式的に同型的なアンチノミー
の再生産
因果性のアンチノミー:決定の原理が自由な因果性を要求、無矛盾の原
理がそうした形態の因果性を排除
再生産されたアンチノミー:決定の原理が理性の歴史性を要求、無矛盾
の原理がそうした歴史の観念自体を排
除
⇒このアンチノミーの重要性…因果性をめぐるカントのアンチノミーが
ヘーゲルに
よる自由と決定の<弁証法>へ、そして、ニーチェによる自由と必然の<闘争
主義>へと変容していく