]『支配の社会学?』81【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】


14 ジェントリー出身の治安判事によるイギリスにおける名望家行政、
「ジェントルマン」の型の形成(p262-)


家産制的君主と地方の家産制的利害関係者の自然的傾向との間の闘争
→様々な結果をもたらした。
 君主:陪臣化された臣民に対して、とりわけ財政上および軍事上の関心をよせる。
 地方の家産的ヘル:君主に対して一切の問題について農民を代表する権利を要求し
た。
 →君主は妥協を余儀なくされた。
   [理由]反抗を誘発する恐れがあること、軍事的・官僚制的装置の欠如、地方
名望家の存在

新たに成立した行政任務
→警察的性格のもの、経済の発展に伴って治安維持の要求増大に関連。
   経済がますます市場関係に巻き込まれたということが、不安定性の弊をますま
す痛感させた。
 ―治安判事の要員を提出したのは私的な利害関係者たち
  →国王は地方名望家に警察的権限を与えた。…家産的ヘルに対抗させるため
⇒いかなる国王も治安判事を出した層に逆らって、永続的に有効な統治を行うことは
不可。
   任命権は国王が握ったが、ジェントリー層の団結は治安判事の地位を独占する
のに十分な力を持っていた。
 ―治安判事の行政
  ―有力な・外部からほぼ完全に独立した・影響力を持っていた。
    ・社会的威信と社会的勢力とを伴っている。
     ・伝統と極めて広汎に衡平による裁量にしたがった決定
  ⇒古来の強制ライトゥルギー団体、荘園領主による家産制行政、国王の家産制=
官僚制的統治を無意味なものにする。

治安判事の行政
…行政職務行為の「極小化」と臨機的性格とを示している。
 →職務行為は「経営」の性格をもっていない。
  ―一定の目的に奉仕するために計画的な行政活動をおこなうという考えは、例外
的に生まれたにすぎない。

中国とイギリスの治安判事の相違
――中国:あらゆる反対勢力からおよそ可能な極限度まで解放されていながら・しか
もまだ近代的な専門官吏制度にまで洗練されていない家産官僚主義の最も
純粋な典型
  イギリス:身分制的家産制と純粋な自立的な名望家行政との組合せ。どちらかと
言えば名望家行政に近い。
   →典型的な政治的重層構造とは無縁。
        君主の家産制的家計と私的な従属民を伴う私的な家産制的支配との
重曹構造
    ―治安判事行政は私的従属関係の崩壊と平行して発展したもの。