David Owen 99


【まとめ】25-
カントの啓蒙をめぐる小論から生じた三つの問題への解答
第一:道徳と啓蒙の同一視
   →成熟とは人が自己自身の意志を意欲することであり、それは道徳法を意欲する
ことと全く同じこと、という主張
第二:公的理性の自由な使用要求…それが目的をもつ存在である理性的な個々人に向け
られるという意味で、批判的・道徳的であるから。
   ⇔
   理性の私的使用…道具的、非道徳的である。
第三:政治領域を道徳法に一致させるべく変容させる可能性
→実践理性がわれわれに要求する信仰のうちに根拠づけられる。
    …道徳的行為の有効性に対する信仰、神の観念に依拠することによって基礎付
けられる。
⇔しかしながら
カントの最終的で不可避のジレンマ
…以上の主張をするために必要な叡智界/現象界の二元論が、もともとそれが克服しよ
うとしたもとの同型のアンチノミーの内側に捕縛されていたこと。