『支配の社会学Ⅰ』70【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】


あらゆる土地所有者や工業経営
――賦役その他の給付義務を負担するものとみなされた。
  ―それらは、公務遂行の報酬とみなされた。
   →プッリュンデの性格に接近する傾向をもっていた。
軍隊
――家産制的であった。
  ―少なくとも戦時においては、王の貯蔵庫から装備され・給養された。
   ―戦士たち:分割地を与えられていて、以前から警察的勤務にも利用されていた。
   ―傭兵:直営商業によって貯えられた王の財宝から給料を支払われた。
    ―大衆:完全に武装を解除されており、彼らを統制することは簡単な仕事であっ
た。


地理的諸条件、とりわけ河川の水運が便利であったこと
統一的治水政策が客観的に不可欠であったこと
――支配の統一性を維持していった。
昇進のチャンスと王の貯蔵庫への依存性
――官吏のプッリュンデが広汎に専有されるのを阻止するに十分であった。
  ―専有:実物給付的プッリュンデよりも、役得プッリュンデや土地プッリュンデの方が
技術的に一層起こり易いのである。
多数のインムニテート特権付与状
――それ自身の表現の仕方を通じて、支配者自身は、その家産制的勢力に依拠して、事実上
この特権を不安定なものとして取り扱いえたことを示す。
  →身分制的国家制度への萌芽はここには全くなく、家父長制が完全に維持されていた。

プトレマイオス朝時代
――貨幣経済が完全に貫徹されている。
  →このことは、家産官僚制を動揺せしめることなく、むしろ、行政を合理化する手段を
提供することによって、家産官僚制を強化した。