『支配の社会学Ⅰ』25【官僚制化の諸前提と諸随伴現象(p.73-)の続き】


4 官僚制的組織の永続的性格


ひとたび完全に実現されると、官僚制は最もうちこわしがたい社会組織の1つになる。
官僚制化
――「共同社会行為」を合理的に組織された「利益社会行為」に移転させるための特
殊的手段。
  →官僚制化は官僚制的装置を統轄するものにとって第一級の権力手段
   ――計画的に組織され指導された「利益社会行為」は、これに抵抗する「大衆
行為」、「共同社会行為」に勝っている。
――個々の官僚は、彼が編入されている装置から脱することはできない。
  ―職業的官僚は全物質的・観念的生存を挙げて、その〔職業〕活動に結び付けら
れている。

最高首脳によってのみ動かされ停止される・(通常は)彼のほうからは動かすことも
止めることもできない・休みなく動き続ける機構の中の、専門化された任務を委ねら
れた個々の一環にすぎず、この機構が、彼に対して、本質的に拘束された進路を指示
しているのである。しかも、彼は、とりわけ、これらすべてのことによって、この機
構に組み入れられた全職員の共同の利害‐この機構が機能し続け、組織化されて行使
されている支配が存続するようにという利害関係‐に、しっかりと結び付けられる。
(p.115-)


被支配者
――官僚制的支配装置が成立するときには、これなしにはすますこともできないし、
他のものとの取替えもできない。
  ―官僚制的支配装置は専門的訓練分業的専門化習熟し見事にマスターした個
々の機能への確たる志向
の上に立脚している。
   →これを停止・阻止されるときは混沌を招く。代用物を求めることはできない。
ますます官僚制的秩序を強化しつつある私的資本主義的組織が不断に正確な機能を営
むということに、大衆の物質的運命が依存する度合いは、絶えず高まりつつある。



秩序の基礎
――1つには「文書」、二つには官僚規律‐自分達の習熟した活動の範囲内における厳
格な服従を重視する官吏の態度‐が一切の秩序の基礎になっていく。
  ―とりわけ「規律」が重要
   …習熟した規範や行政規則を遵守しようとする人間の態度は、文書とはなれても
存続する。


不可避的事情と非人格性の帰結
――官僚制的組織は、この装置に対する支配権を手に入れた人のためなら、誰のために
でも働くことを、極めて容易に甘受する
という帰結をもたらす。
  Ex:軍隊:敵軍がその地方を占領するとき、単に最高幹部を取り替えるだけで、ひ
き続き敵の手中で見事に機能する。
――この装置はそれが近代的な通信=交通手段(電信)を支配している限りは、純技術
的な理由からしても、また徹底的に合理化された内的構造をもっているという理由
からしても「革命」−暴力による全く新たな支配組織の創出という意味での革命−
をますます不可能にする。かくして、「クーデター」をもって「革命」に置きかえ
てしまった。