]『支配の社会学Ⅰ』40【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】


家に従属しない者に対する特別な政治的「軍事高権」
――古い時代においては、掠奪行のための、あるいは掠奪行に対して
防衛するための一時的な結合の形
  ―特にそのために1人の指導者が選ばれあるいは立上り、彼の権
力に服属するという形がとられる。
政治的家産君主の軍事高権が永続するとき
――家産制的従軍義務と程度の上で違うにすぎないところの・政治的
被支配者に対する召集権になる。


家産制的に管理される政治的構成体それ自体
――政治的ヘルに対する被支配者の最も重要な義務として、とりわけ
ヘルに対する純物質的な扶養義務を課している。
   …これは家産制的支配におけると全く同様
  ―この扶養
   ―最初:政治行為が間歇的な「臨機的行為」であることに照応
して、敬意を示すための贈物、特別の場合における援
助とかの形をとる。
   ―政治的なヘル権力による永続性の強化と合理化の進行
:扶養の範囲は拡大、家産制的義務にますます同質化してゆく。
  ―古代・アジアおよび中世の自然経済に依拠したすべての領域国家
において、ヘルに対するこのような扶養
   ―ヘルとその宮廷との食料・衣料・武具その他の需要は現物供給
の形で支配領域の個々の部分に割当てられる。
    ―宮廷はそれがそのときどきに滞在する地方で、臣民によって
扶養される。
⇒現物給付と現物貢租とに頼る共同経済
―家産主義的な政治的構成体の需要充足の第一次的な形態


商業と貨幣経済の発展
――家産制的支配者のオイコス的な需要充足から営利経済的な独占主義
が生れてきた。
  ―家産制は、その財政が合理化されるに伴って、知らず知らずのう
ちに、整然たる金納貢租体系を伴う合理的な官僚制的行政に移行
する。


「自由」のかつての標識2つ
――専ら家産制的関係に由来するような正規の貢租義務の不在
――支配者のための給付の自発的性格〔非義務的性格〕
→→ヘル権力が完全な発展
―「自由な」臣民(ヘルの家産制的権力に服していない臣民)は、ヘル
のフェーデや身分相応の暮らしの費用を支弁するために、ライトゥル
ギー的給付や租税給付によって、寄与しなくてはならないようになる。
    →〔自由と非自由との〕2つの範疇の相違
     ―「自由な」−すなわち単に政治的な−臣民に対して現われて
いるもの2つ
      ―右の諸給付が少量にかつ明確に限定されているということ
      ―若干の法的保障が与えられるということ