『支配の社会学Ⅰ』41【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】
5 家産制的支配者の権力的地位、家産制的軍隊と家産制外的軍隊、
伝統的・正当的なヘル権力にもとづく家産制的支配者の政治的支
配権(p.166-)
君主が家産制外的な−したがって政治的な−被支配者からいかなる
給付を要求しうるかということ
――彼の地位のもつ威信と彼の装置の性能とに依存
←常に大幅に伝統によって拘束されている。
このような軍隊
――(1)家産制的に支配されているところの奴隷・現物受給者また
は小作人から構成されうる。
⇔しかし、土地に定住した農民的小作人は常備軍に利用する軍事
力としては適当なものではない。
∵小作人は、自分自身とヘルとを経済的に給養しなくてはなら
ず、過度の、また伝統の枠を超えるような要求は彼らの伝統
に縛られている忠誠心をぐらつかせる。
⇒家産君主は政治的臣民に対する自己の勢力の支柱を、特にそのため
に形成された・彼と利害を全くともにするような軍隊に求めようと
した。
――(2)農耕から完全に分離した奴隷軍であることもあった。
―購入奴隷軍
:君主が奴隷買い入れのために莫大な現金資本を持っているこ
とが条件
:君主の貨幣収入に依存
⇔これに反して
―土地・臣民からの租税収入が彼らに附与され、遂には土地・臣
民〔自体〕が家人領として軍隊に与えられ、かくして軍隊が領
主に転化するというような過程
→経済の封建化を促進するのにあつらえ向き
⇒租税を支払う住民の地位
―担税力の質入を受けた軍隊の恣意に対して、法的に極めて不安定
→取引を、したがってまた貨幣経済を阻害することがありえた。