]『支配の社会学Ⅰ』38【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】
ヘルはこの伝統的秩序を工場における近代的就業規則のごとき仕方で、
荘園規則や家人規則の形式に変えようという誘因を感ずる。
これらの荘園規則や家人規則(合理的なものとの違い)
――古来既存の状態を問い〔これを成文化した〕ものであるという事実
から拘束力を引き出している。
―発布されたこれらの規則
―ヘルを法的に義務づける力をもってはいない。
―しかしながら、ヘルがその所領の膨大さ・分散化、政治・軍事
などに忙殺されその収入を取り立てる服従者たちの好意に強く
依存している場合
→発布された右の規則を手がかりとしてゲノッセンシャフト的
な法形成が行なわれる。
ゲノッセンシャフト的な法形成
――ヘルをヘル自身の処置に事実上極めて強く拘束するという結果を生
み出す。
―このような規則は、この規則に服する人々を単なる利益仲間から
法仲間たらしめる。
→自分たちの利害の共通性についての彼らの知識を高め、したが
ってまた自分たちの利益を守ろうとする意欲と能力とを強化し、
かくて今や、権力服従者の全体が、最初は時折、やがては規則
的に、ヘルに対してまとまった統一体として対峙するようにな
る、という結果を導く。
家産性的関係の伝統によるステロ化という初期段階
――純粋家父長制の破壊を意味する。
→厳格に伝統に拘束された特殊の支配構成体、すなわち荘園領主制
が成立
―これはヘルと農奴とを、一方的には解消し得ない強固な紐帯に
よって結合している。