『支配の社会学Ⅰ』34【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)の続き】


状況
――すべて家に従属する人々にとって、特別に緊密な・人格的な・継続的な・
  家の中での共同生活が、内外両面にわたる運命の共同を伴って営まれる、
  という事実
父の権力と子のピエテート
――現実の血縁関係にもとづいているわけではない。
――妻としてであれ女奴隷としてであれ、1人の男の家権力に服しているすべ
  ての女の産んだ子は、肉体的な父子関係の有無を問うことなく、家長が
  それを欲するときは、無造作に「彼の」子とみなされる。
  →奴隷制が正規の制度として成立し、血縁関係の現実的意義が増大して
   くると、家の内部で社会的分化が進行する。今や、子は、自由な権力
   服従者として、奴隷から区別されるに至った。


共属生の客観的基礎
――一般的に多くの純粋に家父長制的な法秩序からみても、居住・食事・飲
   料・日用品が、純粋に事実上、多年にわたって共同される、と言う点
   にある。


この〔家父長制的支配の〕構造の内部
――一切が、常に、「伝統」のもつ、すなわち「永遠の昨日」の不可侵性に
  対する信仰の持つ・基本的な力によって、確定されていた。
「習慣を変ずることなかれ」というタルムードのおきての実際上の実効性
――慣習となったものそれ自体のもつ力と何らか呪術的な災禍が生ずるであ
  ろうという恐怖の念にもとづいている。
  →このような恐怖は、次いで神の概念が発展するに伴って、神々が古来
   伝承されて来たものを規範として設定したもうたのであり、それ故に
   神々はこれを神聖なるものとして守護したもうであろう、という信仰
   によって置きかえられた。


権威の二つの根本要
――伝統に対するピエテートとヘルの人(ベルゾーン)に対するピエテート