]『支配の社会学Ⅰ』33【家父長制的支配と家産制的支配(p.143-)】


第四節 家父長制的支配と家産制的支配


1 家父長制的支配の本質と成立(p.143-)


官僚制以前の構造原理の中で重要なもの
――支配の家父長制的構造
  ―厳格に人格的なピエテート関係にもとづくもの。


家長の個人的・権威的地位
――その存立が安定的であり、「日常的性格」をもっているという点
  で没主観的な目的に奉仕する官僚制的支配と共通の性格を持って
  いる。
官僚制と家父長制
――両者は内面的支柱を「規範」に対する権力服従者たちの従順な服
  従心に見出している。
  ―規範
   …官僚制的支配では、合理的で抽象的合法性に対する感受性に
    訴え、技術的な訓練にもとづく。
   …家父長的支配では、「伝統」・古来常にそうであったことは
    侵してはならないという信仰にもとづく。
  ―規範のもつ意義
   …官僚制的支配では、制定された規範が、具体的な権力保持者
    が具体的な命令を発布することを正当づける。
   …家父長的支配では、ヘルに対する人格的服属が、ヘルによっ
    て制定された諸規則の正当性を保障している。
  ―服従者の範囲
   …官僚制的官吏は、彼の具体的命令が及ぶのは、彼がそれにつ
    いて「規則」によって確定された特別の「権限」を援用しう
    る範囲までにとどまるという原則がある。
   …家父長的支配では、彼の権力が伝統や競合的な権力によって
    制限されない限り、彼は権力を無制約かつ自由きままに、と
    りわけ規則にしばられずに行使する。
    ←服従者たちの意識においては、具体的なヘルが正に「ヘル
     」であるという事実が、なにものにもまして強く意識され
     る。
  ―基礎
   …官僚制的支配では官僚勢力の客観的基礎は、官僚制が技術的
    に不可欠のものであるという事実にある。
   …家の権威では、太古以来の自然発生的な状況が、ピエテート
    にもとづく権威信仰の源泉にある。