『支配の社会学Ⅰ』32【官僚制化の諸前提と諸随伴現象(p.73-)の続き】


官僚制
――官僚に対する「上司」の恣意的な処置を排除することによって、「官職保持権」
  を発展させ、官僚のために彼の地位・規則正しい昇進・老後の生活を保障しよう
  とする。
  ―支配の極小化を求める・被支配者の「民主的な」気分によって支持される。
   ―被支配者は官僚に対するヘルの恣意的な処置が弱められるごとに、そこにヘ
    ルの権力そのものの弱化を認めうると信じる。
  ―特殊「身分制的」な発展の担い手


不可避的な「身分的」正確
――「民主制」の努力が反作用してくる。
  ―民主制の努力

   任命官僚制を短任期の官僚選挙制によって置き換え、整備された懲戒手続きに
   代えるに人民投票による官僚罷免制をもってせんとする努力、つまり、階層制
   の上で上位にある「ヘル」の恣意的な処置を、被支配者の、ないしは被支配者
   を支配している政党ボスの、同じく恣意的な処置によって置き換えようとする
   努力(p.138)


一定の教育や教養を享受するということにもとづく社会的威信は、それ自体としては、
決して官僚制に特有なものではない。


社会的威信
――他の支配構造の下においては、全く異なった内容的基礎にもとづく。
  ―教育の目標と社会的評価の基礎とは「専門人」であったのではなく、「教養人」
   であった。
   …この教養人という表現は、ここでは全く没価値的
    ―「教養ある」ものとみなされた生活様式の特質が教育の目標であり、特殊的
     な専門訓練が教育の目標であったのではない、という意味。
  ―支配層を支配層たらしめる資格
   ―「教養資格」をより多くもっているということにもとづいていた。
   ―専門的に「有用な」教育要素とは全く別の要素が、重点をなしていた。


教育制度の基礎に関する論議
――背後には、古い「文化人」タイプ対「専門家」タイプの闘争が決定的な箇所に伏在
  ―この闘争は、一切の公的および私的な支配関係における官僚主義化の不断の進展と、
   専門知識の重要性の不断の高まりとに起因するものであり、最も身近なあらゆる文化
   の問題の中に入り込んでいる。


官僚制
――異質的な原理にもとづく行政構造の諸形態が官僚制と交錯し合っていたし、また現在で
  も交錯し合っている。
  ―問題視点
   (1)右の異質的構造原理はどの程度まで経済的原因によって制約されているか、ある
     いは、その他の事情、あるいは、最後に、それらの技術的構造自体に内在する「自
     己法則性」によって、どの程度まで、それらのための発展のチャンスが作り出され
     るものであるか、
   (2)右の構造原理は、それ自身、特殊経済的な影響を発揮するものかどうか、発揮す
     るとするとき、いかなる経済的影響を発揮するか。


われわれは、これらの〔非合理的〕構造諸形態とはいかなるものであったのかを、問題にしよう。