『支配の社会学Ⅰ』29【官僚制化の諸前提と諸随伴現象(p.73-)の続き】

われわれの団体と合議的統制機関
合議的統制機関
――今日の私経済的・官僚制的組織(株式会社)にみられるもの
――社会学的には区別されなくてはならない。
  ―決定権をもっているような経済上の重要利害関係者、特に企業への融
資銀行そのものを糾合している、統制機関としての地位をもっている
から
   ―家産制的ないしは封建制的政治組織における・独立的な大レーエン
保有者や高位の官職保有者およびその他の社会的に有力な利害関係
者たちの会議に比せられるべきものである。


官僚制的な合議制原理
――種種様々の下級審庁に転用される。
  ―地域的な封鎖性をもった団体(特に都市団体)においては、合議制的
行政は名望家支配の形式として、初めから原生的に存在していた。
⇒合議制的行政は「自治行政」の組織の通常的な構成要素


交通手段の進歩、行政に対する技術的要求の増大
→迅速かつ明確な決断の必要性が顕著になり、完全官僚制と単一支配制へと
駆り立てる上述のその他の理由が圧倒的な力をもって前面に出てくるよう
になる。
 →官僚制的国家の内部では合議制的行政が再び消滅する。
  ―合議制的行政の消滅
   ―議会制的制度が発展し、外部からの批判が増大し、公然たる批判の
形をとるようになる、そのために、ヘルの利害の見地から見るとき、
行政指導における閉鎖的統一性の方が、行政上の決断の準備過程に
おける徹底的検討に比べて、より重要な要素であると見られるよう
になったときに消滅する。
 ―この制度は、経済的・社会的に最も有力な層から利害関係者の諮問委員
会を召集するという方法を利用した。この諮問委員会の利用はますます
頻繁になり、形式的にも整えられていった。
  →諮問委員会制の発展は利害関係者の具体的専門知識を専門教育を受け
た官僚の合理的行政に役立てようとするものであって、明らかに洋々
たる前途をもっており、官僚制の勢力を一層高めていく。


「客観的」法秩序と法秩序によって保障された・個々人の「主観的」権利
――概念的に明確に区別する最終的可能性も国家と法との官僚制化をまって
始めて与えられる。
  ―「公」法(諸官庁相互間の関係および諸官庁と「臣民」との関係に関
する法)と「私法」(被支配者たる個々人相互間の関係を規律する法)
との区別も同様
⇒これらの区別はヘルの権利の抽象的な担い手であり・「法規範」の創造者
である「国家」と個々人のあらゆる個人的「権能」との概念的区別を前提
としている。
 ――これらの概念が最初に実現したのは都市共同体の地盤の上においてで
あった。都市はその官職保有者を定期的な選挙によって任命するよう
になると支配権を「行使」している個々人の権力保有者は「自己の権
利」として支配権をもっている人間とは同一ではなくなった。
   ―この区別を原理的に貫徹したのは官僚制における職務執行の完全な
非人格化と法の合理的体系化