]『支配の社会学Ⅰ』28【官僚制化の諸前提と諸随伴現象(p.73-)の続き】

7 合理的・官僚制的支配構造の発展段階



「ヘル」の思案の的
――特殊化された専門知識が、ますますもって官職保有者の権勢の基礎
となってゆくため、専門知識を利用しつつ、専門知識に自分の地位
を危うくされることなく、自己のヘルの地位を保つこと
  ―行政任務の質的拡大の進行、専門知識の不可欠化
   →ヘルは常置的に開かれる・合議制的な諮問および議決団体を備
えるようになる。
    Ex:国務顧問会議(フランス)、枢密院(イギリス)、ゲネラ
ールディレクトーリウム、内閣(プロイセン


合議体の地位は様々
一切の重要案件
――専門家とその他の構成員に検討された後、決議によって処理
  …決議はヘルの処置によって裁可されまたは却下
⇒この種の合議制官庁は、ますます「ディレッタント」化してゆく支配者
が、専門知識を利用しつつ、しかも同時に専門知識の優勢がますます強
化されてゆくのに対して自己の身を守り、専門知識に対抗して自己のヘ
ルとしての地位を主張してゆこうとするところの形式

支配者は1人の専門家を他の専門家によって制御し、また、右の煩雑な手続
きによってみずからも事態の全貌を知り、自分が誰かにそそのかされて恣意
的な決定をおこなうということのないように、安全性を得ようと求めている
のである。(p.128)

自己の影響力を最大限に発揮するという保証
――賛否の意見が文章によって彼に提出されるということから期待
  ―フリードリッヒ・ヴィルヘルム一世の行政
   …上奏文に対する決定は欄外に書き込みをしたり、勅命を発したりして
、与えていた。
内閣
――支配者が専門知識および行政の「非人格化」に直面して、そこに非難する
個人的要塞として、発展をとげたもの


ヘルは合議制原理によって専門家達の一種の綜合を試み、彼らを1つの集合体
〔合議制機関〕
にまとめようと企図している。
――この現象は成立期の絶対君主制に典型的なもの
  ―行政の「没主観性」のための最も有力な教育手段
  ―社会的に勢力のある私人を招じ入れることによって、名望家的権威と私
経済的造詣とを職業的官僚の専門知識と結合することを可能にした。
――合議制的機関は、およそ人格から独立した永続的組織としての近代的「官
庁」概念をそもそも発展させるに至ったところの、最初の制度の1つ。


長老会議
――行政上の諸問題についての専門知識が、もっぱら長期にわたる経験的習練
の所産であり、行政の諸規範が行政規則ではなくて、伝統の構成部分をな
していたようなところの諮問機関の適合的な形式
  →しばしば、ヘルから実験を奪取するに至る。
   Ex:ローマ元老院アテナイのアレオパゴス会議
これらの会議と近代国家によく見られる私的利害関係者層から選抜された諮問
団体
――合理的な専門分化と専門知識の支配とを基盤として成立する・今ここで問
題にしている団体とは明確に区別されなければならない。
  …前者は官僚あるいは前官僚が中核でないため。