『支配の社会学Ⅰ』23【官僚制化の諸前提と諸随伴現象(p.73-)の続き】

6 社会的差別の水準化



官僚制的組織の支配権獲得
――行政機能の担当の点に関して経済的・社会的差別が持っていた意義が、
少なくとも相対的に水準化されたことにもとづく。
官僚制
――近代的大衆民主制の不可避な随伴現象
  ←支配権行使が抽象的な規則にしたがうという・官僚制に特徴的な原理
からしても明らか
   ∵抽象的規則の遵守という原理は人的および物的意味における「権利
の平等」の要求から、したがって、「特権」にたいする嫌悪と「そ
の場あたりの」解決を原理的に拒否することとから、由来している


大衆民主制
――行政における封建的・家産制的および金権政的特権を廃止するものであ
り、したがって、伝来の兼職的名望家を廃して、どうしても有給の職業
労働に置き換えざるをえない。
  →国家的組織、民主的大衆政党も同様


官僚制化の進歩
――国家的行政自体の内部では民主制の平行現象として現れる。
  ―「民主化」について
   ―無組織の大衆という意味での民(デーモス)
    …大きな団体においては「支配」することはなく、支配される。支
配する行政指導者の選抜の仕方と、自分たちがいわゆる「世論」
による影響を通じて、行政活動の内容と方向とに対して影響力を
揮いうる度合いとが、そのときどきに変えられるにすぎない。
   ―ここでいう意味での「民主化
    …当該社会団体内部における・支配への被支配者の能動的参与の増
大を意味するものではない。


民主制の政治的概念が導くもの
――被支配者の「権利の平等」という要請
  ―(1)閉鎖的な「官僚身分」の発展の阻止
   (2)「世論」の影響範囲拡大のための支配権力の極小化
   ⇒専門資格に拘束されることのない・撤回可能な選挙による・短任期
の補職を実現しようとする。
⇒民主制は自ら−名望家支配に対する民主制の闘争の結果として−生み出し
た官僚制化の傾向と、不可避的に矛盾に陥ることになる
――決定的なことは、専ら、官僚制的に組織された支配集団に対する被支配
集団の水準化ということ。