]『支配の社会学Ⅰ』10(官僚の地位(p.63-)の途中)


2
 純粋な型の官僚制は上級審庁によって任命
 被支配者によって選挙される官僚≠純粋な官僚制

 
 政党機構の転化機能
 ――自由な選挙→1人の候補者への賛同へ転化
         2人の候補者の投票の獲得を目指す闘争へ転化


 官僚指名のための被支配者の選挙
 ――官僚が上位の官僚に対して独立的であるため、階層制的下属関係
の厳格さを弱める。
彼の地位は「下から」得ている。


 ヘルによって任命された官僚
 ――通常より精確な機能を営む。
   ∵(なぜなら)純専門的な見地や資格が彼の選択や栄達を決定す
るという公算が大きいから
    ⇔非専門家たる被支配者は専門的資格の価値を経験的、事後的に
知ることしかできない。
     政党の選挙による官僚任命
     →政党権力者に対する忠勤に決定力を認める。
 ――下僚たちの影響を容易に統制しがたい。


選挙(世論の影響)

 専門的に訓練された行政への要求が著しいか、あるいは、今日では合衆
国においてもそうなっているように、このような要求が著しく高まってき
ており、また、政党の役員たちが、知的に高度の発展をとげた・訓練され
た・自由に動く「世論」(勿論、合衆国においては、このような世論は、
都市における移住者分子が「選挙弥次」的な働きをしているようなところ
では、今日どこにも存在していないが)を考慮せざるをえないようなとこ
ろでは、不適格な官僚を任命するときは、〔次の〕選挙で与党の上にその
報いがはね返ってくる。(p.67)

 →公選
  ――階層制的従属関係、官僚の専門資格、官僚制的機構の精確な機能を
も大いに危うくする。
  合衆国の公選裁判官と連邦裁判官の例


アメリカにおける大都市自治行政の大変革
 →すべて公選市長によって行われる。彼らによって任命された官僚装置を
もって仕事をした。
 民主制からしばしば生まれてくる「カエサル主義」のもつ支配組織として
の実行力
 →カエサルの地位に基づいている。
カエサル

 大衆(軍隊または市民)の信頼をえた・自由な・伝統に拘束されない人と
しての、また正にそれ故に、伝統その他の考慮を無視して彼によって自由に
選抜された・最高度の資格を備えた将校や官吏の幹部団に対する、絶対的な
ヘル
としてのカエサル(p.68)

 ⇔「個人的天才の支配」は前面的な選挙官僚制という、形式的には「民主制
的」な原理とは、矛盾


カエサル主義について(pp.71-72)
  能動的大衆民主制化
  ――政治指導者≠名望家の間の資格の実証の承認→候補者宣言→議会にお
ける卓越的な地位による指導者への確立
         =大衆扇動的な手段での勢力獲得
  →指導者の選抜のカエサル主義的なものへの変化
  特殊カエサル主義的手段
  →人民投票

   普通の『投票』または『選挙』ではなく、自己のためにこの賛同を要求
する人が指導者としての召名をもっているということに対する『信仰』
告白なのである。(p.72)

  Ex:ナポレオン一世・三世、アメリカ大統領、ドイツのビスマルク