『支配の社会学Ⅰ』8(第3節:1、近代的官僚制の特殊的機能様式(p60-))
第3節 官僚制的支配の本質・その諸前提および展開
1 近代的官僚制の特殊的機能様式(p60-)
近代的官吏制度の特有な機能様式
1
各官庁が規則(法律、行政規則)によって一般的な形で秩序づけら
れた明確な「権限(コンペテンツ)」をもつ、という原則が存在
<3つの契機>
(1)目的上必要な通常的な活動:官職的義務として明確に分配
(2)義務の履行に必要な命令権力:明確に分配、その中の強制手段
は規則によって限定
(3)分配された諸義務の規則的・継続的な履行、権利行使のために、
一般的に規制された資格をもつ人々が任命される。
⇒公的な支配においては官僚制的「官庁」の存立、私経済的な支配に
おいては官僚制的「経営」の存立を基礎づける。
これらの制度(明確な権限をもった継続的官庁)は
政治的、教会的共同体の領域においては近代国家
私経済の分野においては資本主義の進歩した諸組織
において
⇒完全な発達をとげた。
⇔封建的国家組織においても例外
→委任や権能は一時的に与えられたもの、明確に限定されていない。
2
官職階層制と審級制との原則(階層制的審級制の原則)
――上級官庁による下級官庁の監督を伴う、官庁間の上下関係に明確に整
序された体系
→「単一支配的」な秩序へ
「権限」の原理が完全に貫徹されている場合の階層制的従属
≠上級官庁が下級官庁の仕事を単純に自己の手に移す権限をもつ
=官職の欠員時は再び誰かをこの官職に任命することが絶対的に要求
3
近代的な職務執行は、原本または草案の形で保管される書類(文書)と、各
種の下僚や書記のスタッフとに依拠している。
「役所」または「事務所」の形成
近代的な官庁組織=事務所と私宅とを原理的に分離
…職務活動と私生活の区別、職務上の金銭や資材と官吏
の私的財産の区別
→公の経営、私経済的経営においてもひとしく見出せる。
公の経営…継続的な目的行為一般という広い意味
業務執行の近代的類型が徹底的に実現されていればいる程、事務所と家計・事
務上の通信と私信・事務財産と私的財産とは原理的に区別される。(p.62)
近代的企業者の特徴
――彼の経営の「第一の役員」としてふるまうという点
国家的な役所活動と私経済的な事務所活動とが、何か内面的本質を異にしたも
のであるという観念
→ヨーロッパ的=大陸的観念、アメリカ人にはない。
4
職務活動の前提→徹底的な専門的訓練
5
職務の完全な発展→官僚の全労働力を要求それ以前→業務を「兼職的に」処理することが常態
6
官僚の職務執行は一般性・明確性・網羅性・習得可能性のある規則にしたがって
行われる。
規則の知識(法律学、行政学、経営学)
近代的職務執行が規則によって拘束されるということ
規則の制定によって一定の事項を処理するという、法律によってある官庁に認め
られた権限はそのときどきの個別的命令によってその事項を規制する権限をこの
官庁に与えるものではなく、それを抽象的に規定する権限を与えるのみにすぎな
い。(p.63)
⇔対極的な対立:家産制にとって完全に支配的な規則様式