『支配の社会学Ⅰ』7(カリスマ的支配(p.47-)の続き)

3 カリスマ的支配(p.47-)の続き


(α)
ダライ・ラマの探索
――カリスマ的資質の探索
  →カリスマの個人的な非日常的な性格は規則によって確定しう
   る資質に転化


(β)
カリスマ有資格者の人に対する信仰
――神託・籤・その他の指名技術によって当該技術に対する信仰に
  転化


(σ)
カリスマ的資格をもつものを指名することにより資質を与える。

(鄯)
カリスマ保持者自身による指名:後継者指名
 カリスマ自身のもつ正当性に対する信仰→法的・神的指定による
                    支配権の正当な獲得に
                    対する信仰に変化


(鄱)
カリスマ的資格をもつ使徒団または使徒団(ユンガーシャフト)ま
 たは従士団(ゲフォルクシャフト)による指名
――自由に選択できる選挙候補者についての「票決」なのではなく、
  カリスマ的資格をもつものとして後任に召命された「正しい」ヘ
  ルを確定し承認する手続き。
――信仰は人そのものに向けられるのではなく、「正しく」かつ「有
  効に指名された」、それともあるいは財産対象を取得するのと同
  様な仕方で権力の地位に就けられたヘルの人格に向けられる。
   人→ヘルの人格へ


(鄴)
世襲カリスマ
――血の中にカリスマ的資質があるという観念
 「相続権」という観念→西欧中世おいてのみ
 王位についての「長子相続法」の一義的貫徹→西欧中世と日本のみ
 信仰
 ――個人から王朝の「正当」相続人に向けられる。
 ヘルの意味の変化
 ――被支配者によって承認された個人的カリスマに基づくもの
   →完全な固有権に基づくものへ
 ヘルたることの要求権は個人的資質からは完全に独立


(鄽)
カリスマの典礼的非人格化
――カリスマは秘蹟的行為によって移転・作成される呪術的資質であ
  るという信仰信仰
 ――カリスマ保有者→当該の秘蹟的行為の有効性へ向けられる


(酈)
カリスマ的正当性の原理
――反権威主義に解釈変えされることもある。
 カリスマ的支配の妥当
――被支配者達が具体的な人をカリスマ的資質をもちそのカリスマを
  実証された人として承認することに基づく。
  →資質をもつが故に正当なる要求者に対してはこの承認は義務的
 この関係は容易に解釈変えされる。
  民主制的正当性
  →承認は「選挙」に転化
   カリスマによって正当づけられるヘル→被支配者の好意と委任
                     とにもとづく権力保有
                     者に転化
   カリスマ的要求権によって選ばれたヘル→被支配者によって純
                      粋に自由に選挙され
                      た官吏に変化
  カリスマ的原則
  →カリスマ的な法宣示が共同体に告示され、共同体によって承認
   されること。
   相互に異り対立し合うような宣示が競合する場合
   ――既存の可能性→妥当すべき法については被支配者がその意
     思表示によって自由にこれを決定でき、票の計算がこのた
     めの正当な手段である(多数決原理)という合法的な観念
     に発展する。
 
選挙された指導者と選挙された官吏との相違
 ――選ばれた者自身が自己の行動に付与する意味、幹部及び被支配
   者に対する関係において付与する意味の相違にすぎない。
   →官吏は全くそのヘル(選挙民)の受任者として行動する。
    指導者は専らみずから責任を負うものとして行動する。
    →指導者
     ――選挙民の信任を効果的に要求しうる限り、専らみずか
       らの判断によって行動する。(指導者民主制
       ⇔官吏のように、選挙民の明治された・または推定さ
        れた意思にしたがって行動することはしない。