『支配の社会学Ⅰ』6(カリスマ的支配(p.47-)の途中まで)

3 カリスマ的支配(p.47-)


カリスマ的支配の成立要因

支配者の人(ベルゾーン)と、この人のもつ天与の資質(カリスマ)、
とりわけ呪術的能力・啓示や英雄性・精神や弁舌の力、とに対する情緒
的帰依によって成立(p.47)

個人的帰依の源泉=永遠に新たなるもの・非日常的なるもの・未曾有な
るものと、これらのものによって情緒的に魅了されること
最も純粋な型=予言者、軍事的英雄、偉大なデマゴーグの支配
支配団体=宗団、従士団の形をとる情緒的共同体
     情緒的共同体(p.56)=広義ではカリスマ的支配団体、狭義
     では宗団 
命令者の型=指導者(フューラー)、服従者の型=帰依者(ユンガー)
彼のカリスマが証によって実証される間だけ服従が捧げられる。
 →英雄力や民衆の彼の指導者資質に対する信頼感が失われる時、彼の支
  配は崩壊する。
「権限」という合理的概念も、「特権」という身分制的概念も存在しない。


行政には規則への志向性なるものが存在しない非合理的な特徴を持つ。
伝統に拘束されていない。


カリスマ的な法宣示(レヒツヴァイズング)と訴訟解決との純粋な形式
→ヘルまたは「賢人」による判告の告示と、(軍事あるいは信仰)共同体に
 おけるこの判告の承認という形をとる。共同体による承認は義務的
 →指導者闘争が発生する。→(レヒト)と贖罪義務ある不正(ウンレン
              ト)のみが存在。


(a)
あらゆる支配関係の全体が、伝統とカリスマによって両分されていた。
カリスマ的指導者の2面性
世俗的活動分野=狩猟と出征、「宗教的」活動分野=呪術


b)
カリスマ的権威=「承認」に基づき、承認の崩壊とともに崩壊
しかし、

カリスマ的権威は、決して、被支配者による右の承認から、その権威を導き
出しているのではない。むしろ、信仰と承認とは義務とみなされ、カリスマ
によって正当づけられた者は、自分のためにこの義務の履行を要求し、義務
違反に対してはこれを罰するのである。
(pp.49-50)


(c)
カリスマという語がここでは全く没価値的な意味で用いられている。
ただし、われわれにとって決定的なのは

それらの資質がカリスマとして通用し、現実に作用したかどうか、すなわち
カリスマとして承認されたかどうかという事実のみであるからである。
(p.50)

カリスマとしての承認要因=「実証(ベヴエールング)」が根本的な前提条
             件
「神の恩恵」というカリスマ的概念が存在したところにおいては、この概念
は決定的に重要な諸結果を生み出す。
奇蹟による実証が、どの予言者に対しても要求された。

支配を実現するような行為を確保すること=「組織」

あらゆる支配関係において、被支配者の事実上の従順性が継続的に存在する
ために極めて決定的なことは、とりわけ、行政幹部が存在し、また、秩序の
実施と支配への服従の(直接または間接の)強制とを目指す、行政幹部の継
続的な行為が存在するという事実である。(p.51)

行政幹部自身がヘルへの忠誠心をもっていることが極めて重要であるが、こ
の忠誠心にとっては、更に、行政幹部とヘルとの−観念的・物質的な−利害
連帯関係
が決定的。


1つの命題
ヘルは幹部隊所属員の孤立と幹部構成員と自分との連帯関係によって反抗す
る個々の幹部員に対して強者、幹部員全員による1つの利益集団への結集す
るときは弱者になる。


(d)
カリスマ的支配は非日常的な、純粋に個人的な社会関係、しかし、支配が継
続するときは、おそくとも個人的なカリスマ保持者の脱落とともに支配関係
は日常化
していく。


カリスマの日常化の要因
①秩序の伝統主義化
②合法的または身分制的幹部への転化
③カリスマそのものの意味の変化
また、後継者問題も重要。カリスマ的ヘルの出現を受動的に待望する態度は、
特に利害関係が存在する場合には、新たなヘルを獲得するための積極的な行動
によってとって代えられる。