『支配の社会学Ⅰ』その3

第3項 「組織」による支配、支配の妥当根拠(p.26-)


支配組織のグループが被支配「大衆に」対してもっている支配的地
位は「少数の利益」といわれるものに基づいている。
少数支配者のみのもっている可能性に基づいている。
「少数の利益」は支配者側の意図、なされた決議、知識を秘密にす
ることによって効力を発揮する。
およそ永続的存立を目指す支配は、すべて何らか決定的な点におい
て秘密支配である。
支配の特殊の安全装置:

指導者の命令に服従することに慣れ、支配とそれのもたらす利益と
にあずかることによって支配の存立に個人としてみずからも利益を
感じている一群のひとびとが、ひき続き命ぜられるままに動き、か
つ、支配の維持に役立つような命令権力や強制権力の行使に参加す
るということ(「組織」)がこれである。
(p.27)


支配の構造の社会学的正確の取得要因3つ
・単数または複数のヘルの装置に対する関係
・単数または複数のヘルの被支配者に対する関係
・組織についてのその支配に特有な諸原則


「正当性」の問題

支配の「妥当」はいかなる窮極的原理にもとづきうるか、換言すれ
ば、ヘルに対する「役人」の服従を、またこの両者に対する被支配
者の服従を要求する権利は、いかなる究極的原理によってささえら
れうるか、という問題(p.27)

支配の正当性のこのような基礎づけかたは、

あらゆる力、いなあらゆる生活チャンス一般が自己義認の要求
をもつものであるという、極めて一般的な事態にその根拠をもって
いる。(p.28)

自己義認
:自分の状態を「功績によってえた」もの、
 相手の状態を「自業自得」のものとみなすこと。


特権階級と大衆の関係・対立
当該支配秩序が、それが諸々の事情に迫られて大衆の目に「問題」
 視されるに至るようなことが生じない限り
、彼らにとって自然的な
 秩序として映じ続けるような場合に  は、特権を持たない層も右
 の神話(:特権集団の「神話」は彼らの自然的優越性を、できるこ
 となら彼らの「血の」優秀性を示すためのもの)を受け入れる。
純粋な階級状況が、あらわにかつ判然を、誰の目にも見えるような
 形で、運命決定的な力として現れるような時代
においては、自己の
 運命は各自の功罪によってえられたものである という、高度の特
 権をもつひとびとの右の神話が正に、しばしば、特権をもたない層
 を最も激しく怒らせる契機の 一つになる。

近代の階級闘争においては、正にこの神話と、それにもとづく「正
当性」の威信とが、最も激しいかつ最も有効な攻撃の対象となって
いるのである
。(p.29)


「支配」は支配を正当化する諸原理に訴えることによって自己義認
を獲得するということに最も強度に依存している。
このような窮極的原理(命令権力の妥当)には3つある。
制定された合理的規則の体系に対する服従
人的権威に対する服従
非通常的なものへの帰依、カリスマに対する信仰に対する服従


一つの支配構成体の合理的に組織化された共同社会行為は、その特
徴的類型を「官僚制」の中に見出す。