<現代を「情報」から見る>見田宗介「現代社会の理論」、岩波新書

現代社会の理論―情報化・消費化社会の現在と未来 (岩波新書)

現代社会の理論―情報化・消費化社会の現在と未来 (岩波新書)

情報社会学の書籍

【目次】
1 情報化/消費化社会の展開―自立システムの形成(新しい蜜蜂の寓話―管理システム/消費のシステム
デザインと広告とモード―情報化としての消費化 ほか)
2 環境の臨界/資源の臨界―現代社会の「限界問題」1(『沈黙の春
水俣 ほか)
3 南の貧困/北の貧困―現代社会の「限界問題」2(限界の転移。遠隔化/不可視化の機制
「豊かな社会」がつくりだす飢え ほか)
4 情報化/消費化社会の転回―自立システムの透徹(「それでも最も魅力的な社会」?
消費のコンセプトの二つの位相 ほか)


<情報化/消費化社会>は初めて自己を完成した資本制システムである。
自己の運動の自由を保障する空間としての市場自体を自ら創出する資本主義であり自己準拠的なシステム、自立するシステムとして完成しており初めての純粋な資本主義である。

古典的な資本制システムの「不可避の矛盾」であった恐慌は情報化/消費化社会における資本制システムでは人間達の「必要」に制約されない無制限の消費に向かう欲望を、情報を通して自ら再生産し、自ら市場を作り出すことで回避された。(P71)

そして、この情報化/消費化社会における資本制システムはマルクスなどからの批判から逃れ多くの人々に受け入れられることになった。

しかし、このような「自由な世界」、開発/発展の無限空間には、2つの問題系が投げかけられた。

第1は自然との臨界面。「環境」「公害」「資源」「エネルギー」など
第2はこのシステムと外部社会との臨界面。「南北」「第三世界」など
である。

現代の社会システムと特色づける大量生産大量消費も宇宙的真空のなかで行われているのではないから把握しなおす必要がある。

        [大量生産 → 大量消費]         ・・・①

          ↓

[大量採取 → (大量生産 → 大量消費) → 大量廃棄] ・・・②

①のシステムが普通語られているものは1つの無限幻想の形式である。
事実は②という限界づけられたシステムである。(P68)

大量採取、大量廃棄の社会は外部化され遠方化、不可視化されていく。

しかしながら著者は
情報化/消費化社会のシステムは最も魅力的なシステムであるとする。
なぜならば人間の自由を少なくとも理念として肯定しているからである。(P122−123)
また、マテリアルな消費に依存する価値と幸福のイメージから自由にしてくれるからである。(P170)
上記のような問題も情報化/消費化社会における過渡的な問題である。

著者はP148やP152において情報への可能性を書き
「消費」のイメージを有限な資源/マテリーなものから無限な情報/イデーなものに変えることが必要であるとしている。