『支配の社会学1』その1

第一節 支配の諸構造形態と諸機能様式
 第一項 力と支配、過渡的諸形態


「支配」は、その最も一般的な何らの具体的内容にもかかわりのない概念においては、
共同社会行為の最も重要な要素の一つである。


例えば、言語共同体においてもそうである。
方言の政治的支配経営体の官房語化、政治的分離による言語の文化、特には学校用語。


無定形な共同社会行為から新たに合理的な利益社会関係を誕生せしめるものは、非常に多数の
場合において、支配と支配の行為の様態(支配の構造と支配の展開)なのである。
「支配」の存在は社会成体において決定的な役割を果たしている。


支配は力(マハト)の一特殊ケースである。経済的な力は、同様にしばしば支配の最も重要な
手段の一つである。経済的な力は「支配」の基礎付けと維持のために用いられるわけではない。
しかし、結果として経済的手段の利用が「支配」に影響を与える
支配の構造は多くの場合、経済的に極めて重要なモメントであり、かつまた、同様に多くの場合、
何らかの仕方で経済的にも制約されている。


経済の諸形式と支配との関係についての命題を獲得することが重要。
「支配」の意味と「支配」と「力」という概念の関係性は何か?
力−すなわち自己の意思を他人の行動に対して押し付ける可能性−という全く一般的な意味においては、
支配は千差万別の形をとって現れうる。


支配には2つの型がある
1つは利害状況による(とりわけ独占的地位による)支配であり、もう1つは権威(命令権力と服従権力)
による支配
である。前者は自己の利害に従っており、後者は絶対的な服従義務が要求される。
しかしながら、両者は相互に流動的に移行しあう。


しかし、利害状況による、とりわけ独占的地位による支配の典型的な種類は、どれも、次第に権威的支配
に転移させられるうるものである。

支配は結果においては、その下部機関に対する国家の官僚制的機関の権威主義的支配に著しく類似したも
のになりうるし、従属は権威主義服従関係の性格を帯びうる。


徹底した発達をとげるときは、彼らすべて、次第に、その委託者に雇われ利益の配分を受ける販売代理業
者に転化させられうる。この代理業者の従属の仕方は、経営主の権威の下に従属するその他の外勤の組立
技師や私的職員のそれと、遂にはほとんど区別されえないものになるであろう。


もれにもかかわらず、われわれは、現実の諸現象の不断の流れの中にあってそもそも有益な区別を立てよ
うとするためには、明確な両極的対立性、例えば全く利害の妥協のみによって規律される市場交換、した
がって純粋に所有そのものから生まれてくる事実上の力と、絶対的な服従義務に訴える家父長や君主の権
威主義的権力との対立を、きびしく固持してゆくことが必要である。


所有自体がすでに、決して単に市場勢力という形だけで、力を基礎づけるわけではない。これらの諸関係
は、事情によっては、端的に権威主義的な特色を帯びることがある。
また、このような支配状況は、単に直接に私的市場や私的関係の領域に見られるわけではない。


本書では狭義の支配の概念を用いる。それは権威をもった命令権力と同義の概念である。

「支配」という語は1人または数人の「支配者」の表示された意思(「命令」)が、他の(1人または数人
の「被支配者」の)行動に影響をおよぼそうとし、また事実、この行動が、社会的にみて著しい程度に、
あたかも被支配者がこの命令の内容を、それが命令であるということ自体の故に、自分たちの行動の格率
としたかのごとくに、おこなわれる(「服従」)というほどに、影響をおよぼしているという事態である。
(p.11)