千葉眞『思考のフロンティア:デモクラシー』岩波書店
- 作者: 千葉真
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/03/21
- メディア: 単行本
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【目次】 1 二つの民主主義 (古代ギリシア型民主主義、近代西欧型民主主義) 2 デモクラシーの徹底化にむけて (精神の自由の問題、近代日本の民主主義的伝統―その解釈学的復権にむけて) 3 基本文献案内
来年以降、ちょこちょこやっていく予定の関連で読む。
古代と近代の自由とデモクラシーの違いを見たところが興味深い。
概して古代、中世、初期近代に生きた人々は、一面、自由という問題を考える際に、
現代人がもっぱら考えるように選択の幅と可能性が数多く存在する−選択の自由(liberum arbitrium)−
ということだけでなく、正しい選択をなす行為それ自体ならびにその適切な選択の帰結である良心の
安らぎや確信−まさにリベラル・モラル−の次元をも考慮に入れていた形跡がある。(p.66)
イグナティエフの理解によれば、ローマのキリスト信徒アウグスティヌスは正しい選択であることを
保証するものは「神の恩恵の賜物」であると考えた。近代人は総じて自分の選択の幅を拡充すること、
つまり選択の自由にもっぱら関心を寄せてきたのである。しかし、アウグスティヌスによれば、外的拘束
をどれだけ縮減させ、自分の選択の幅を無限に拡大させたところで、その選択の行為に衷心からの確信が
伴わない場合には、その自由は腐敗した善でしかない。(p.67)
選択の結果をも考えるというのは近代以降は特に問題になってきているように感じますが
近代以降の選択の際、行為の「衷心」が誰それによって規定されるのかがまたまた問題になってくるのでしょうね。
アウグスティヌスはキリスト教的なものに支えられた衷心なのかな。
他にも「ラディカル・デモクラシー」とか「パトリア主義」とか・・・
最後の丸山真男の立場を説明した言葉はふむふむという感じ。
民主主義とはつねに進行形で行かなければ、その時に達成した民主主義の成果すら維持できない
(p.117)