制度について
制度(institution)とは、その社会で正当と承認されている目標価値獲得の行動定型をさす。
その成立過程とは
「慣習」
↓
「習俗」
↓
「モーレス」
↓
「エートス」→「制度」
↑(反発・不振)
「近道衝動」
という構造でできている。
「慣習」 :同一の目的に同一の手段が選択され、これが定式化したもの
「習俗」 :「慣習」が集団表象として共有されたもの。これは共同体の成員個人の恣意性を禁圧するところの 社会的抑圧(タブー)として作用。
「モーレス」 :外的強制力が内面化されそれが正統的として社会に承認される段階に達し、その行動定式に 同調するとき、心の安定感と帰属性が保障され、一種の倫理的な規範意識にかためられたもの。
「エートス」 :「モーレス」が心情的レベルで性格構造の内面にまで根をおろしたもの。 例:武士道、職人かたぎ、ピューリタンの禁欲倫理など
「近道衝動」 :その社会での利益実現の正当なルートを回避し、近道と考えるものにとびつくこと。 原因は制度への深い絶望と疑惑、アトミックな(無規則な)状況に拠る。簡単にいうと 制度の「たてまえ」と「現実」が分裂し、「正直者はつねにバカをみる」という空気がみなぎるとき。 例:投機的な行動、暴力行為、ファシズムなど
◇篠原、長井『現代政治学入門』有斐閣双書(pp.10-11)
この図式は単一方向へ進むだけのものなのか?
それとも後退するという形も存在するものなのか?