R・ドーア「働くということ」中公新書


【目次】
第1章
労働の苦しみと喜び(あなたの不安が私の平和を脅かすグローバリゼーション ほか)
第2章
職場における競争の激化(効率は市場競争から成果主義 ほか)
第3章
柔軟性(イギリスの一つの誇り労働市場の柔軟性 ほか)
第4章
社会的変化の方向性(何が公正か力の次元 ほか)
第5章
市場のグローバル化と資本主義の多様性(逆転の可能性標準を押し付けること ほか)



労働市場についての社会学的考察。

現在、労働は近代化*1してきている。

それは、市場個人主義ネオリベラル)やグローバリゼーションの影響を受けている。

市場個人主義とは(pp.132-135)

 ①社会的セーフティーネットは必要であるが最低賃金法と社会扶助に
  よって獲得できる。
 ②そのどちらも仕事を探すインセンティブを低下させるような水準や条件に
  設定してはならない。
 ③「社会扶助から勤労所得」というプログラムは
  鄯:失業統計で重要(政府の経済運営を測定する上で重要性がある)
  鄱:労働倫理(労働していることにより一級市民であり社会を構成している
         という感覚を国民がもつこと。政府の義務である。)
 ④すべてのレベルにおける労働の主たる動機はお金である。
 ⑤権力は腐敗させるが、市場は規律をもたらす。

グローバリゼーションとは(p162)

 近代的通信や運輸技術の急速な発達によって、他者との関係付けがより簡単に、
 より安価に可能となる結果、国境を越える関係や接触が加速度的に増加すること
 によって起こされる様々な傾向

である。

ここで問題になってくるのは公正であり収入格差進行による社会的連帯の希薄化*2である

とする。

この問題は社会、政治など多くの分野に影響を及ぼすものであり慎重に考え、対処する必要があるとする。





「何の交わりも何の共感もなく、まるで別々の惑星の住民みたいにお互いの習慣、考え、

感情について無関心な(p148)」ということはイギリスのディズレーリであるが

これは国内の状況をみて言った言葉である。

このようなことが国家の枠を超えて世界的なものになる可能性もあるかもね。

つまり、新たな階級?が出現するかってことです。

本書でも触れられています。例えばグローバルエリートなど。

またまた考えます。



全体的に何か読みにくい感じ。

*1:流動的な労働市場が形成されること

*2:上の方の人が中位とのギャップを大きくしたこと