J・デランティ、山之内靖・伊藤茂(訳)「コミュニティー」NTT出版

コミュニティ グローバル化と社会理論の変容

コミュニティ グローバル化と社会理論の変容

【目次】
1章 理念としてのコミュニティ―喪失と回復
2章 コミュニティと社会―モダニティの神話
3章 都市コミュニティ―地域性と帰属
4章 政治的コミュニティ―コミュニタリアニズムとシティズンシップ
5章 コミュニティと差異―多文化主義の諸相
6章 異議申し立てのコミュニティ―コミュニケーション・コミュニティという発想
7章 ポストモダン・コミュニティ―統一性を超えるコミュニティ
8章 コスモポリタン・コミュニティ―ローカルなものとグローバルなものの間
9章 ヴァーチャル・コミュニティ―コミュニケーションとしての帰属
まとめ 今日のコミュニティを理論化する




本書は、これまで様々な思想的潮流によって用いられてきた方法に即して

コミュニティーを解釈すること(p7)をアプローチをして採用しながら話を進めていく。

コミュニティーは時代と場所によって変化するものであるということがよくわかる。

また、コミュニティーは帰属を確認するものであるとともに人々を隔てるものでもある。

コミュニティーは様々な見方ができる

例えば

都市はコミュニティーの重要な容器である。(p97)
コミュニケーションとしてのコミュニティー(p98)
コミュニティーとは帰属を構成する実践の組み合わせであり基本的にコミュニケーション
によって再生産される。(p180)
リアルなコミュニティーと想像するコミュニティー(p270)
などなど

現在、

コミュニティーグローバル化の進展とともにその形を変容させているとする。

衰退しつつあったコミュニティーは今日復活しつつある。

そこには、明らかに場所と関係する帰属が危機に陥っていることと結びついている(p272)

しかしながら、新たなコミュニティー*1は帰属に対する希求以上のものではなく、

場所に代わるものとはなっていないのである(p272)

コミュニティーが現実のものとなるのか、それともユートピアなものになるのかは

今後の研究にとって重要なテーマである。



ヴァーチャルコミュニティーには少し否定的だす。

コミュニケーションの強化としては認めているけれど強力な参加や

関与を生み出す可能性は低い。(p257)とか、

情報通信産業はコミュニティののネットワークがすでに存在するところでは

それを活性化するが、新たなコミュニティを生み出すことはほとんどない。(p258)

とか。

そんでもって、ローカルな帰属の形態を掘り崩すことはせず、

むしろ強化する、という見解。

規範が弱い、離脱・撤退可能性が強いていうのが理由ですがう〜むてな感じです。

まだまだ、考える必要性がありますな。

*1:個性化された成員から構成されるものであり、再帰的に組織化された社会的ネットワーク(p272)