佐伯啓思「自由とは何か」講談社現代新書

自由とは何か (講談社現代新書)

自由とは何か (講談社現代新書)

(目次)
第1章 ディレンマに陥る「自由」
第2章 「なぜ人を殺してはならないのか」という問い
第3章 ケンブリッジ・サークルと現代の「自由」
第4章 援助交際と現代リベラリズム
第5章 リベラリズムの語られない前提
第6章 「自由」と「義」



「自由」とはどのようなものなのだろうか?
自由が実現されている現代*1においては人々は自由に飽きているという。
まず、最初に身近な例(自己責任、殺人)をあげる。
次にバーリンを初めとするリベラリズムの種類(市場中心主義・能力主義・福祉主義・是正主義)
リベラリズムの柱(価値についての主観主義・中立的な国家・自発的な)を説明する。
著者は自由の価値を認めながらも現在の自由はその自由そのものが手段から目的に変化しているとする。
そして、目的化された自由はニヒリズムを招くとする。
重要なのは自由そのものでなく
「善」であり多様なレベルの共同体の規範を超えたいっそう超越的な規範への従属で
ある「義」であるとしている。

*1: 〜自由は時代によって変化する。フランス革命時は抑圧からの自由など〜