小阪修平(2006)『思想としての全共闘世代』ちくま新書
- 作者: 小阪修平
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/08
- メディア: 新書
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あの頃のことを自分史的に語る。
■昂揚
外側からいうと、55年体制の効用が切れ、戦後民主主義手的な問題設定の
外に社会的な課題があらわれてきた転形期に、ベトナム反戦という要因が
からまって学生運動の昂揚が生じ、全共闘運動がはじまったということが
できる。
(pp.35-36)
■組織
具体的な行動目標のための、形式的民主主義の枠にとらわれない、自発的
な個人参加による、ルーズな闘争組織が全共闘である。・・・全共闘はな
りゆき的に出来たものだったが、それまでの政治組織とは百八十度異なる
スタイルをもった組織が誕生したのだ。全共闘は当事者性や個人の自発性
を重視する、リゾーム型の組織だという点で、これまでになかった組織形
態であり、70年代以降の市民運動のあり方に大きな影響を与える一方で、
いつどこで決定がなされるのかがはっきりしない、責任の所在もはっきり
しないという難点をもっていた。
(pp.74-75)
↓↓
■行動原理
まだ闘おうとする人間が残っている以上全共闘は存続するし、やっても意味
がないと思う人間はその場から去ればよいだけの話である。形式的な民主主
義によって物事を決定するのではなく、行動する人間や当事者の意志を優先
するという特徴も全共闘がもたらしたものだった。したがって、全共闘は、
いつ闘争をやめるのか、そもそもどのようにやめられるのかもはっきりしな
い組織であり、具体的な目標にかんする闘争組織であったにもかかわらず、
原則的な主張をくりかえし妥協することが無い、というより妥協が出来ない
組織になったのである。
(pp.75-76)
ムードによる参加(p.87)
「空騒ぎ」による様々な思考を解き放つ「空間」の構築(p.208)