長谷部恭男『憲法と平和を問い直す』ちくま新書
- 作者: 長谷部恭男
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2004/04/07
- メディア: 新書
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【目次】
憲法の基底にあるもの
第1部 なぜ民主主義か?(なぜ多数決なのか?なぜ民主主義なのか?)
第2部 なぜ立憲主義か?(比較不能な価値の共存、公私の区分と人権
公共財としての憲法上の権利、近代国家の成立)
第3部 平和主義は可能か?(ホッブズを読むルソー、平和主義と立憲主義)
憲法は何を教えてくれないか
立憲主義と民主主義の緊張関係を説明したり(p13)、ゲーム理論を使ったりと多彩。
民主主義国家にとって憲法が持つ合理的自己拘束としての意味は、・・・「国際社会への協力」や 「自国の領土の保持」などという美しい歌声に惑わされることなく、日本の国民が将来に向けて、 安全な航海を続けていくことができるか否かが、そこにかかっている。(p156)
立憲主義が前提とする国家は、市民の生に包括的な意味と目的を付与する国家ではない。 それは、多様で相互に両立不可能な世界観や生の目的を抱きながらも共同生活の便宜を公平に 分かち合おうとする人々が集い、全市民に共通する公益について理性的に討議し決定するという、 意義の限定された空間にとどまる。(p158)
長谷部先生の憲法議論・改正についてのスタンスは
しょせんは憲法も法律であり、その解釈適用は、最後は専門家の法律家の手に委ねられる。 憲法典の存在意義が、民主的手続きへの過重負担を避けること、民主政治が自らの手に負えない ことにまで手を出さないよう、ハードルを設けることにある以上、解釈適用が専門家の手に 委ねられることには、十分な根拠がある。こうした考え方は、改正の対象として想定されている 条文が、社会生活の根本的な枠組みにあたる原理えお定めている場合により一層あてはまる。(p174)
てな感じでしょうか。
終章(p178-)は要約といった感じ。