牧野雅彦「マックス・ウェーバー入門」平凡社新書


マックス・ウェーバー入門 (平凡社新書)

マックス・ウェーバー入門 (平凡社新書)

【目次】
はじめに―ウェーバーをどう読むか
ウェーバーとはどういう人か
歴史と政治―ウェーバー方法論の知的背景 その一
政治史から国民経済学へ―ウェーバー方法論の知的背景 その二
歴史学派経済学の方法的問題とは何か
歴史への問い―古典古代と近代ヨーロッパ
「資本主義の精神」の起源
世界史としての古代史
ウェーバー宗教社会学の世界 その一―中国とインド
ウェーバー宗教社会学の世界 その二―古代ユダヤ教〔ほか〕


前半はウェーバーの歴史的状況、後半部は宗教社会学への考察。

一回的な行為や個別の事件にどれほどの行為があるのだろうという歴史主義の

想定の起源を明らかにするとともに歴史そのものの意味をあらためて問いなおす

というウェーバーはヨーロッパ近代を「世界の魔術からの解放」ととらえた。

その「魔術からの解放*1」とは人間の営みにもとづく際限のない合理化の出発点でもあった

のである。



価値をめぐる討論のところでは

他者に対する批判はたんに事実認識や技術的な議論にとどまるものではなく、相手の抱いている価値と

正面から対決するものでなければならないというのがウェーバーの基本的な立場である。(p76)

とあるけど厳しいですね。

ほかに政策科学??に対する記述もちょっとあり。(p72-)

*1:民衆の生活からの呪術的なものの排除の過程のこと。古代ユダヤでは予言者の出現が結果として社会生活の深部からの合理化へと道を開くことになったとする。そこでは、合理化の原動力は知識人そのものの知的合理化の努力、少なくとも上層知識人を担い手とする知的論理的な関心からする合理化ではなかった。(pp.127-128)