猪口孝「国家と社会」東京大学出版会

国家と社会 (現代政治学叢書 1)

国家と社会 (現代政治学叢書 1)

【目次】
序章 国家と社会
第1章 国家の形成
第2章 国家と社会の哲学的基礎
第3章 近代国家をみる視角
第4章 国家と社会の諸相
第5章 支配装置
第6章 国家の介入
第7章 社会構造
第8章 社会の対応
第9章 現代日本の国家と社会
第10章 結論―さらなる問いかけのために




国家*1と社会の関係性を明らかにする。

その視点として世界経済、国際関係、階級関係、官僚制、民主主義の5つを

提案する。(p40)

近代以降、国家は社会に依存し始め、しかも社会を国家の中に取り込む過程が始まった

とする。

国家は人員(官僚・軍隊)にしても産業にしても財政(税金)にしても社会に供給源としての

役割を必要としているのである。

そのような中で社会は国家に対して3つの対応をとる。

それは、退出、抗議、忠誠である。(p116-)

国家と社会は原理的な緊張関係におかれている。それは、近代国家が生まれて以来、

国家と社会は重なりあう部分が大きくなりながら、別々の原理*2によって規定されている

とする。そこに互いの緊張関係が生まれてくる。

*1:ウェーバーによれば「国家とは一定の領域内の一定の住民に対して暴力の独占を通じて正当性を主張する組織」(p7)

*2:国家はその活動の源泉を「社会の蓄積」「社会からの人員補充」「社会による承認」に置いている。ここでの緊張関係の例は税金。国家は社会余剰から税金を取り立てようとする。社会は徴税を少なくしようとする。(p150)